第四話「迷い」
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辺りを見渡して境内で掃き掃除ている朱鳥を探した。しかし、彼女の姿は境内にはいなかった。
「あれ? じゃあ、神前でお供え物とか?」
なら、急いで装束を着ないと……!
「あ! 九豪君?」
と、なにやら私服姿で自宅の玄関から手を振っている朱鳥を見つけた。
「く、桑凪さん? どうしたんだ、その格好……?」
「連絡しないでごめんね? 今日は御奉仕をお休みにしたの」
「え、今日の御奉仕はいいの?」
「今日ぐらいは大丈夫だよ? お昼少しすぎまで出かけるところがあるから。買い出しもかねてね?」
「ああ、そうか……まぁ買い出しならね?」
なんか、違うような気がするが……とにかく、俺は買い出しを手伝えばいいのだろうか? にしては、今日の朱鳥は結構オメカシしてんな? オシャレなヒラヒラの私服とか着てるし……私服はいつもこういうのを着てるのか?
「今日は、蓬町へ行きますよ?」
「蓬町?」
聞き覚えのない町の名前だ。そんな町あっただろうか?
「女尊男卑に支配されていない唯一の平等な町なんです。でも、そのせいで市役所から除外されているんです」
「酷いな? 幾らなんでもそんなことしなくたって……」
しかし、このご時世で男女平等を訴えることは反社会主義を掲げるのと同じように思われてしまう。
なるほど、どおりで地図を見てもその町名が見当たらないわけだ。では、その町へ行けるのはその町を知っている世代だけというわけか?
「じゃあ、行ってみるか?」
「うん! おいしい物とかい〜っぱいあるよぉ?」
「そいつは楽しみだ!」
「えっと……ここから、3キロぐらい遠いんですけど、大丈夫ですか?」
と、申し訳なさそうに朱鳥が訪ねた。歩くぐらいなら苦でもないが、女の子には疲れそうだな?
「あの町へ行くには徒歩しか方法がなくって……」
「じゃあ……バイクでいく?」
「え、バイク?」
俺の愛車、ヤマハのYZF−R25のファクトリーカラー。俺の体とは違和感のあるレーサータイプだが、それでも仮面ライダーが乗るバイクみたいでカッコいいという理由から今でも愛着のある車種として長く乗っている。
そして、そんな公道でR25を走らせている俺の後ろには朱鳥がいた。朱鳥は、俺の背中にくっついて風を感じている。ちょうど、捨てようと思っていた古いヘルメットが残っていたので良かった。ヘルメットは大きくて朱鳥にはブカブカだったが、それでも彼女は楽しんでいた。
朱鳥が俺の背中にしがみついているから、あの爆乳が背中に押し付けられて……
いかん! いかん! 運転に集中せねば!!
「気持ちぃ! オートバイって、気持ちいですねぇ〜!!」
それでも、朱鳥はとてもご機嫌だった。最初は少し怖そうにおもっていたが、それ
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