139部分:第十一話 プールでその六
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第十一話 プールでその六
「赤瀬がいるから」
「僕なんだ」
「赤瀬はどんなものでもどれだけあっても食べきれるから」
だからだというのである。
「だから。安心していい」
「まあね。食べられるけれどね」
彼も自分でそれを認めるのだった。
「好きなだけね」
「だから大丈夫」
また言うのだった。
「量は問題ない」
「けれど味は」
「陸上自衛隊の食事だと思えば大丈夫」
月美にもこう返すのだった。
「あれは凄い」
「あれっ、陸上自衛隊って」
「飯まずいのかよ」
「素人さんが持ち回りで作る」
これは本当のことである。陸上自衛隊では航空自衛隊や海上自衛隊の様に給養、即ち食事を専門に作る職種は存在しない。兵士達が当番で作るのである。それで美味いものができるかというと言うまでもないことである。
「そんなもの」
「そりゃ酷いな」
「まんまいつもキャンプファイアーなのかよ」
「それに比べたらつきぴーの料理は大御馳走」
そうだというのである。
「実際にそこそこ美味しい」
「そうか、それならな」
「期待していいわね、そっちも」
狭山と津島はここでまた笑顔になった。
「こいつのサンドイッチ以外にも御馳走が加わったんだからな」
「全然オッケーよね」
「ただし。あれだよな」
陽太郎はここで少し苦笑いになって述べた。
「食べ過ぎたらお腹がな」
「そこまで食べるのもいいんじゃない?」
赤瀬が上から述べる。
「美味しいって証拠だし」
「それもそうか」
「お握りと後は」
月美はさらに言ってきた。
「他には玉子焼きに野菜の煮付けもありますから」
「私はデザートにフルーツ持って来たけれど」
津島が持って来たのはそれであるというのだ。
「へえ、西堀さんはそっちなんだ」
「お握りのおかずにと思いまして」
それでだというのだ。
「駄目でしょうか」
「いや、それ凄いよ」
「ねえ」
狭山と津島がまた言い合う。
「玉子焼きまでって」
「それもお野菜まで」
「凄いですか?」
「っていうかそこまでするのってさ」
「サンドイッチなんてあれだし」
津島はここでそのサンドイッチについて話すのだった。
「簡単だから。挟むだけ」
「そうですか?サンドイッチも」
「いや、だから挟むだけだから」
それを言う津島だった。
「それで終わりじゃない」
「はあ」
「後は耳を切って程よい形、っていうか三角にしてそれで終わりだから」
「耳はどうするんだ?」
「後で牛乳を入れてお粥にするかカリッと焼くの」
そうすると陽太郎にさりげなく答える。
「何でも無駄なくよ」
「それは忘れないんだな」
「忘れたらお料理じゃないから。とにかく西堀さんって本格的ね」
「いえ、そんな」
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