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雲は遠くて
142章 夏目漱石とロックンロール
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で、大きな業績を残している人のようです」

「ゲーテの言葉にはこんなものもあります。
『心が(ひら)いているときだけ、この世は美しい。
おあえの心がふさいでいるときには、おまえは何も見ることができなかった』
ゲーテ自身に、そういう反省があって、こんな詩が生まれたそうです」

 「きょうのお話は、そんなゲーテにも(おと)らない作家の夏目漱石についてのお話で、
『夏目漱石とロックンロール』というタイトルにしました。あっははは。
えーと、ロックンロールについては、おれがリスペクトしている、おふたり、
ブランキージェットシティのベンジーこと浅井健一さんも、
B‘z(ビーズ)の松本孝弘さんも、『かっこよさやかっこいい』ことをあげてますが、
それって、外面からじゃなくって、中から出てきているもの、心から出てきているもの、
ということ言っています。これには、まったくおれも同感なんです」

「夏目漱石という人も、そんな意味では、音楽家ではないですが、
ロックンロール的な生き方をした人だと感じています。
たとえば、出世コースを歩いていた漱石ですが、そんな競争を途中で放棄するんですよね。
40歳で、ドロップアウトして、朝日新聞社に入社し、小説家の仕事に専念します。
そんな漱石の心情を表す、漱石の有名な言葉があります。
『死ぬか生きるか、命のやりとりをする(よう)な維新の志士の(ごと)(はげ)しい精神で文學を
やって見たい。』
これは、門弟の鈴木三重吉宛の書簡に、漱石が書いたものです。
おれは、ロックンロールの精神も、そんな維新の志士のようなもんだと思うんです。
じゃないと、かっこいいロックンロールはできないもん。あっははは」

 会場のみんなも明るく笑った。

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☆参考文献☆
1.いきいきと生きよ ゲーテに学ぶ 手塚富雄 講談社現代新書
2.夏目漱石と明治日本 12月臨時増刊号 文芸春秋
3.松本孝弘 ビッグストーリー B‘z研究会 飛天出版

≪つづく≫ --- 142章 ---

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