138部分:第十一話 プールでその五
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第十一話 プールでその五
ただしだ。椎名は自分をチビと言った狭山にだ。むっとした顔で返すのだった。
「チビは挨拶じゃない」
「いいじゃねえかよ、挨拶でよ」
「挨拶じゃない」
むっとした目で返すのだった。
「だから訂正する」
「訂正しないとどうなるんだ?」
「ドロップキック」
一言だった。
「それからミリオンゴーストアタック」
「おい、聖闘士星矢かよ」
「車田正美先生は偉大」
どうやら彼女は車田正美のファンらしい。それでこう言っているようだ。
「だからそれをする」
「うわ、本当にするのかよ」
「されたくなかったらちゃんと挨拶する」
要するにそうしろとのことだった。
「わかった」
「わかったよ。じゃあな」
狭山もそれに頷いてだった。それであらためて彼女に挨拶するのだった。
「おはよう」
「おはよう」
椎名も挨拶を返す。それで終わりだった。
狭山と津島の話が終わるとだった。今度は上から声がしてきた。
「おはよう」
「ああ、赤瀬」
陽太郎が微笑んだ顔を上に向けて応えた。
「今戻って来たんだ」
「うん、これ」
「悪いな」
赤瀬はその野球ボールを一度に何個も持てるような大きな手から缶ジュースを出してきた。両手に六本全部持てていた。しかも軽くである。
「それじゃあな」
「うん、それじゃあ」
「はい、これ」
陽太郎が他のメンバーにそれぞれ缶ジュースを渡す。種類は同じで午後の紅茶だった。ミルクティーのそれを出したのである。
「これでいいよな」
「おお、悪いな」
「それじゃあね」
狭山と津島がまず笑顔で応えた。
「じゃあ早速な」
「飲ませてもらうわね」
「そっちもいいよな、これで」
陽太郎は月美と椎名に対しても問い返す。
「ミルクティーで」
「はい、有り難うございます」
「ミルクティー大好き」
こう答える二人だった。月美は笑顔だが椎名はいつもの無表情だった。
何はともあれ六人で飲む。それからだった。
陽太郎が皆に言うのだった。
「じゃあ今からさ」
「はい、プールですね」
「行こうか」
こう言って行くことを誘う。
「そろそろ」
「そうだよな。ああ、お弁当だけれどな」
「六人分持って来たから」
狭山と津島が言ってきた。
「こいつがサンドイッチ作ったんだよ」
「折角だと思ってね」
「えっ、そうなんですか」
それを聞いた月美が驚いた顔になる。そして自分が両手に持っているバスケットボックスを申し訳なさそうに見る。そうして言うのだった。
「すいません、私も」
「あっ、持って来たの」
「私はお握りですけれど」
それだというのだった。
「それを」
「お握りにサンドイッチか」
「いいんじゃね?」
陽太郎と狭山
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