第59話 新たなる暗雲
[2/4]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
復してはおらぬ。地球がすぐる昔のように、全ての人類に崇拝される日まで、我が心は晴れぬ」
「同盟軍の活躍で帝国軍は大敗北を喫した、しかし今帝国に滅んでもらっては困る、未だ信徒の数が足らんのでな。そこで帝国軍を立ち直らせるために、お前の力で今こそイゼルローン要塞を攻略せよと市民どもの世論を動かすのだ、憂国騎士団を使えばすぐであろう」
「はっ猊下」
「同盟は勝ちすぎた、バランスをとる必要がある」
「はっ」
総大主教との通信を終わった男は、世論の誘導と評議会の誘導を考え始めた、要塞攻撃はどうせ失敗するのであるなら、邪魔な国防委員長の首を取れるような失敗をするようにと。
宇宙暦794年5月5日
■自由惑星同盟 首都星ハイネセン
ヴァンフリート星系会戦で侵攻していた帝国軍7万8000隻を完膚無きまでに叩き潰し撃退した同盟軍宇宙艦隊はパトロールに残った第2艦隊以外ハイネセン軍事ステーションへと到着した。
ダゴン星域会戦、第二次ティアマト会戦を上回る戦果に同盟市民は勝利の甘美さに酔っていた。
巷では憂国騎士団が今回の勝利を更なる勝利にするべきだと、イゼルローン要塞への攻撃を主張しはじめていた。それに乗せられる評議会議員が多数居たのが、シトレ統合作戦本部長の頭痛の種と成っていた。
軍事宇宙港へ到着した各艦隊司令官達にマスコミが取材攻勢をかける姿が見受けられるが、一に負傷しているロボス、二にグリーンヒル、三にビュコック、四にウランフ、五にボロディンであり、みすみす敵を逃したアップルトンと機雷戦を仕掛けただけと称されたアル・サレムは余り取材を受ける事がなかった。
取材陣はロボス元帥の功績を称えて、統合作戦本部長に就任かと詰め寄ったが、ストレッチャーに寝かされたロボスからの声明が本人に代わり、娘のリーファから読まれた。
「今回の勝利は小官だけの戦果ではなく、多くの将兵、政府、同盟市民の皆さんの集大成なのです。この小官を統合作戦本部長へと言うお話もあるようですが、シトレ元帥と小官のコンビが今回の勝利の原動力と成りました。小官は現役の間は前線に出る気であります。重ねて言いますが、小官だけがヒーローではなく、皆が皆ヒーローなのです」
その声明に多くのマスコミが明日の朝刊や夕方のニュースの題名を考えるのであった。
ただ一部の人間は面白く無さそうにしていたのであるが。
その後、ロボスやグリーンヒルは直ぐさま軍病院へと直行し長期入院と言う事になった。
それ以外の艦隊司令官以下のスタッフは統合作戦本部へと向かいシトレ元帥に挨拶を行った。
「宇宙艦隊主席参謀コーネフ中将以下入ります」
「入りたまえ」
コーネフ中将、ビュコック中将、ウランフ中将、ボロディン中将、アップルトン中将、アル・サレム
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ