EX回:第62話(改1.5)<水上集落へ>
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にそぐわず意外に早足なのだ。絶対に諜報員だな。
「oh、wait! 待って」
「はぁ、はぁ、早いですね!」
高速の金剛姉妹がこの有様だ。
案内役の運転手さんの表情や行動の落差がすごい。まぁ妙な日本語でも片言で会話してくれるだけ有り難いが。
一番遅れている龍田さんは仕方ない気もするが私は他の子に声を掛けた。
「夕立に夕張さん! 遅すぎだって」
その夕立は弱々しく叫ぶ。
「仕方ないっぽい」
「はぁ、はぁ! 腕力なら自信あるんだけどなあ」
工廠娘も足腰は弱いのか。
でも私たちが運転手さんを見失うと寛代が『こっち』とか言って指差して案内してくれるから助かる。さすが索敵娘。その指差した方向に慌てて付いて行く私たち。
艦娘たちは自前で無線とかレーダーを持っているから良いけれど。生身の人間である私は迷ったら大変だ。実際、何度も危うく置いてかれるところだった。
考えてみたら、こういう迷路みたいなところの方がVIPや要人にもカモフラージュになるのだろう。そう思うと外のホテルとかレストランよりも、はるかに安全といえるか。
なおブルネイ提督は、さっきからスイスイと付いて行っている。奥さんが、ここの出身だからかな? 妙に慣れている感じだ。
やがて、ちょっと大き目の建物の中に案内される。その入口には自動小銃を構えたお兄さんが数人、護っていた。そして運転手さんの姿を見ると案の定、会釈をして道を開けてくれた。
(本当に、この運転手さん……何者?)
私たちは照明で照らされた明るい廊下を行く。
「さっきも話したが、今日はブルネイの政府、王立軍、警察関係者が来る」
ブルネイ提督は通路を歩きながら私に説明した。
「彼らは食事はせず話だけして帰る予定だ。お祈りの時間は避けるらしい。俺としては明日の打ち合わせがしたいんだがな」
「あ、そうか。明日は視察もあるか」
突き当りの扉をブルネイ提督が開ける。
そこには、この水上集落に、こんな空間があったのか? という広いスペースが広がっていた。天井からはキラキラした豪華なシャンデリアが下がり壁には絵画。大きなTVとホワイトボード。そして大きな机がある。
「適当に座ってくれ。直ぐに相手も来るだろう」
金剛たちが大きく目を見開いている。
「wow、意外ネ」
「すごいですね」
「……です」
珍しく比叡2号も目を丸くして驚いている。確かに、外観と中身の落差には驚きだ。内装も、かなり豪華だ。
各自それぞれ腰をかけていく。私が座るとブルネイ提督は並んで座った。帽子を取った彼は、ちょっとホッとしたような表情をした。
だいたい全員が着席した頃合いを見て運転手さんが言った。
「じゃ、呼びますネ」
「お願いします」
「え?」
提督が
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