序章〜強くてNew Game?〜
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か?」
少し急ぎ足で彼―――【ナバナ】は大理石の床を進む。
【大広間】の扉にナバナが触れた瞬間―――視界が暗転した。
何も見えない漆黒の闇が広がる。
最初に爆発のような奔流を引き起したのは色彩だった。あらゆる色彩がナバナを呑み込んだ。
あらゆる感覚が。音が。ニオイが。皮膚感覚―――否、すべて。あらゆるすべてが押し寄せた。
例えるならば、嵐だろうか。
およそ人間が感じることのできるすべてが嵐の如き荒々しさでナバナに襲いかかる。
それは永遠に等しい時間にも―――あるいは一瞬・刹那にもナバナは感じた。
無限の極彩色が、徐々に形を得てゆく。色彩の爆発に感じたそれは、無数の風景だった。
フォトモザイク、という言葉が脳裏に浮かんだ。
フォトモザイクとは無数の写真を組み合わせてモザイク状の絵画を作る芸術作品の事だ。
まさに、それだった。無数の現在進行形で変化を続ける風景によって構成されたそれは、1秒後には別の絵画に変化していたりする。
まるで万華鏡のようだと感じた瞬間―――ナバナは知った。
知って、理解してしまうと、荒れ狂う嵐の如き感覚が意味を成す。
ナバナはすべてを悟った。
この万華鏡のようなフォトモザイクは【世界】だ。あらゆる時間のあらゆる空間が目の前に広がっているのだ。
平行世界、という言葉がある。もし○○を行っていたら、もし○○をしなかったら―――という歴史の転換点にて別の選択を行って歴史が異なった世界のことだ。Ifの世界―――とでも呼べば分かりやすいだろうか?
そのすべてを閲覧している。それはつまり全知に近い存在になった事を指していた。
肉体の束縛から解放され、精神は飛翔し、魂は三千世界と融和してゆく。
生死という概念すら超越した高次元の存在―――彼はまさに超越者(オーバーロード)だった。
再び爆発する色彩。荒れ狂う感覚。そして静寂―――。
気付けば、ナバナはナザリック地下大墳墓の大広間の扉に手をかけていた。
「今のは、一体......」
大広間の扉を開き、ナバナは玉座の間に向かった。
ナバナは奇妙な違和感を感じていた。
地面を踏み締める感触、歩く度に肩や腕に感じる僅かな空気、画面から消失したHP等のステータス表示......どれもYGGDRASILLでは表現できなかったリアルな質感だった。
サーバーダウンの延期はあり得ない。
ナバナーーー木場七海はYGGDRASILLのサーバー管理者であり、12時にサーバーダウンしてログイン中のプレイヤーが強制ログアウトするようロックしていた。
それに、YGGDRASILLのサーバーは今時珍しいクラウドを経由しない物理サーバーであり、サーバー室に入れるのは木場七海一人だけである。
外部からのクラ
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