序章〜強くてNew Game?〜
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べきそれがこの部屋に飾られているのはギルドの象徴である故だ。
―――【スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウン】。
ギルド武器であるこれを作り上げる為に、皆で協力して冒険を繰り返した日々があった。
チーム分けをして競うように素材を集め、持ち寄ったアイテムと意見を纏めて少しずつ作り上げた。
仕事で疲れた身体に鞭を打って来てくれた人がいた。
家族サービスを切り捨てて奥さんと大喧嘩した人がいた。
有休をとったと笑っていた人がいた。
1日駄弁って終わった日があった。
馬鹿話で盛り上がった日もあった。
冒険を計画し、宝を漁った日があった。
敵対ギルドを攻め落とした日があった。
最強クラスのボスに全滅しかけた時があった。
未発見の資源を見つけた時がった。
モンスターを配属させ、突入してきたプレイヤーを倒した日々があった。
どれもアインズ・ウール・ゴウンが一番輝いていた時代の話だ。
武器を見て、それを思い出したモモンガは、スタッフに手を伸ばしていた事に気が付いた。
この輝きの象徴は、ここに置いておくべきだという理性とギルド長として最後くらい勝手をしたいという欲望が交錯する。
41人のギルドメンバーの内37人が辞めていった。後の4人が最後にやって来たのはいつだったかモモンガでさえ思い出せない。
ギルメンとは別に1人招待しているがやって来た面々の中には居なかった。必ず向かうとメールは来ていたが時間的にはもう来ないだろう。後で謝罪のメールが届くのだろうなと少し溜息を洩らす。
こんな残骸の時代に、栄光の時代の結晶を引きずり下ろしたくはない。
だが、ギルド長という立場でありながら、モモンガが今まで行ってきたのは雑務と調整、連絡くらいで、最後くらいギルド長の権力と言うものを使ってみたいと初めて思っていた。
逡巡し―――スタッフ・オブ・アインズ・ウール・ゴウンを掴む。
「作り込み、拘り過ぎだろ」
手に収めるとドス黒いオーラが立ち上がり、人の苦悶に似た表情を浮かべて、消えてゆく。
その様に苦笑したモモンガは、杖を持って大広間を出た。
タイミング的には、モモンガが大広間を出た数分後だった。
「あれ?モモンガさんがいない……?」
空間にジッパー状の裂け目......【クラック】が出現し、中から異形の怪物の姿が降り立った。
「遅すぎた―――よな」
画面に映る時間は23時57分。
ほぼギリギリになるとは思っていたが、本当にギリギリのログインだった。
後でメールを送ればいいかとも思ったが、どうしてもゲーム内で挨拶をしておきたかった気持ちがあり、ログインした。
だが、入ってみれば大広間だけでなく、NPCも見当たらない。
「他に行きそうな場所と言えば……【玉座の間】くらい
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