=体育祭編= コンビセレクト
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とした顔で、もう一人は驚愕の表情を浮かべながら互いに距離を取った。こうすれば、どっちが本物だろうと事態が硬直するだろう。
「………水落石。お前、何を知ってるんだ?」
「俺の事はいい。敵から目を離すな」
「邪魔者が二人とは、予想外だな」
俺に話しかけてきた砥爪を見て、俺はやっとどちらが本物か理解した。かすり傷のある方、つまり最初から大会に参加していた方が砥爪で間違いない。何故なら、偽物には「獣耳と尻尾がない」からだ。隠しているならまだ分からないが、偽物と仮定する相手には人間の耳と同じ物がついている。顔も体格も身長も声も瓜二つな二人なので予知の瞬間は見分けがつけられなかったが、そこが決定的に違っていた。
「俺の勘が告げてるぜ。お前、砥爪を殺す気だろ。ここまで入ってきた方法は敢えて聞かねぇが、天下の雄英の御膝元で犯罪しようとは『敵連合』の回し者かと疑いたくなるな」
「あんな『新人』共と一緒くたにされるのは心外だ――なっ!!」
瞬間、二人目の砥爪が恐るべき速度で俺の背後へ回り込み――何かする前に未来を察知した俺の後ろ回し蹴りで反対方向に吹き飛ばした。
「ガハッ!?ぐっ、素人学生如きが反応しただと……ッ!?」
「そういうの、俺反応しちゃうんだよねー………つっても、どうやら敵連合を新人呼ばわりするだけはありそうだけどさ……テメェ、砥爪と同じ個性を手の表面に纏わせてんな。確かにそれなら威力は人を殺すには十分だ」
「それだけじゃない。さっきの高速移動も爪先に最低限の衝撃波を纏わせて自分の体を飛ばしやがった」
砥爪が冷や汗を垂れ流しながらそう付け加えた。全く同じ顔、全く同じ個性、若干違う外見――敵連合のトゥワイスのような複製と似ているが、蹴っても形状が崩れないことや物言いと技量が違うことから、そっくりな別人と考えるべきだろう。
何とか砥爪殺害は防いだが、全く状況が掴めない。さりげなく砥爪に近づき、小声で話しかける。
「随分デンジャーな兄弟だな」
「馬鹿言え、由緒正しき一人っ子だ。さっきは忠告ありがとな」
「いーんだよ生きてんなら。それよりも――おい、偽砥爪!お前はここに何しに来た!プロヒーローそろい踏みのこの会場、騒ぎを起こせば無事には逃げ帰れんぞ!!」
「自分が殺される心配でもしてろ。それより――貴様、砥爪などと『見え透いた偽名』を使って『表舞台に立つ』など、何を考えている?未来などない事を知りながら、イカれているのか?」
「………イカれてんのはお前だろ。意味の分からん事ばかり言いやがって。表も裏も偽名も何も、俺は自分の身分を偽ったことなんてない。親に名前貰った赤ん坊の頃から俺は砥爪来人だ」
「何を馬鹿な――いや、しかし。まさか――?」
どうも話が噛み合っていない砥爪と偽砥爪。
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