03・映す夢
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炎に包まれ、焦げ臭さと錆の匂いが立ち込める屋敷。
「 『 』、私と一緒に来て!」
ヴァンパイアである彼には、いつだってその種族としてのしがらみが付きまとう。
分かっていても、願わずにはいられない。
・・・・・・・自身と共に逃げてくれることを。
「駄目だアズリ。必ず、どんな姿になろうが・・・・・・・またお前を見つけるから」
「いや、・・・・・・・いや!『 』!」
「・・・・・・・ありがとう。お前を愛することができて、幸せだったよ」
温もりを身体に焼きつけるように、強く抱きしめられる。
彼女を馬に乗せ、走らせる。・・・・・・・いつかふたりで過ごした花園へと。
唯一愛した彼女を想い、消えゆく運命。
まるでそれは、神が想いあうふたりを引き裂くように。
愛する人を犠牲に、自分だけが助かった。
その事実が彼女の心を切り刻む。
思い出だけで創られた美しい花園で、彼女はただ愛する人の名を呼んでいた―――。
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