アインクラッド 後編
All for one, one for――
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「ああ……頼むよ、頼むかラ――」
最後に残されたアルゴが声を震わせると、その双眸から透明な雫が零れた。への字に歪めた口の横を伝い、顎の先端から地面に滴る。彼女の声は、彼女自身が作り上げた《鼠》のイメージから遠くかけ離れた、脆い温度を持っていた。
「もう誰も――」
アルゴが自分の声を制御できたのはそこまでだった。アルゴから漏れた嗚咽と涙は共に足元の短い草の面を撫で、淡い水色に輝いて宵闇を仄かに照らし空に消えた。
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