誘い
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ありがとうございます!」
それに倣うように、ライナのチームメイトたちも慌てて立ち上がった。
周囲を驚きが満たしていく。
「え、何でですか。俺は去年のチームメイトですよ?」
「それが敵になることなんて、いくらでもあることだろう。テイスティアのようにな」
そう言って笑えば、近づいてきていた五学年主席の姿がある。
「お久しぶりです、先輩。でも、敵ってひどいですね、僕も敵になりたかったわけじゃないですよ」
「でも、学べたことは多いだろう?」
「はい。とても……」
ゆっくりと頷く姿に、セランは不服そうに口を尖らせた。
「先輩に応援してもらえれば、百人力だったのに。先約ってずるいですよ」
「だから、代わりの応援要員を一人連れてきただろう」
そう言って、隣を見れば大柄な男性の姿だ。
「げ。ワイドボーン先輩!」
「なんだ、不満でもあるのか。とりあえず、その『げ』の意味について、詳しく聞かせてもらいたいものだな、後輩」
「あ、あの。いや、本当に勘弁してください」
頭を下げる様子に、周囲に笑い声が漏れた。
+ + +
近づいてくる。
自分で誘っておきながらではあるが、こうして近づいてくると何を話していいかわからなくなる。ましてや、デート疑惑を聞いた直後だ。
髪は整っているだろうか。
どうしよう。
迷っている間に、アレスの姿は大きくなって、声がかけられる位置まで近づいた。
「五学年のクローラー候補生です。ご無沙汰をしております」
先に声を出したのは、ライナの隣にいた最上級生であり、このシミュレーション大会の総司令官だ。
どこか見たことのある風貌に、アレスは気づいた。
「ああ。確か、ヤン少佐の隊にいた」
「覚えていただけて光栄です。あの時は非常に多くのものを学ばせていただきました」
第一回目の戦術シミュレーション大会、決勝戦。
ヤン・ウェンリーのところに配属されていた一学年生。
あの時はまだまだ技術も甘く、戦い急ぐ悪いところがあったが、その様子は落ち着いていて、きっと彼も同様に多くのことを学ぶことができたのであろう。
ライナの力があったとはいえ、こうして準決勝まで足を進めているのだから。
「ライナ候補生には、我が隊で非常に活躍していただいています」
「あ、いえ、そんな。昨日もミスをしてしまい。助けていただきました」
慌てたように出した声に、ライナはしまったと顔をゆがめた。
失敗したことなど、アレスに聞かれたくない。
だが、アレスは珍しそうにそれを見て、微笑。
いつもにらんでいたような表情が、崩れた。
「一人で何とかしなくても、存外に何とかなるものだろう」
「……はい」
「ならば、気を張らずにできることをやればいい。君ならで
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