暁 〜小説投稿サイト〜
東方幻想探偵
0.Jの序章/動き出す風
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 もう言葉がとぎれとぎれである。おそらく走ってきたのだろう。ロンスカでとても走るのに向いてる服装とは言えないのだが。
「てか、なんで走って逃げたのよ。私の車使えばよっかたのに」
「だったらキーを渡しなさいよ!」
 確かにな。と不覚にも思ってしまった。
「…………ん、んん」
 どうやら目を覚ましたようだ。二人も顔をのぞかせる。
「よっかた。目を覚ましたのね」
「早苗ちゃん!よかったぁ。心配したのよ」
 目を覚ました早苗の顔には困惑の色だった。
「まったく。あまり心配かけないでくれよ早苗。諏訪子や神奈子にどやされちまう」
「ええっと、あのー」
 先ほどから戸惑うような声色に俺は疑問を覚えた。いつもの早苗なら驚きはすれど戸惑いはしないからだ。
「?どうした、早苗」











「あなたたちは誰なのでしょうか」











『――――――――――は?』
 きれいに全員の声が被った。
「ここはどこなんでしょうか?先ほどから早苗、早苗と私のことを呼んでらっしゃいますが私のことなんでしょうか?」
 俺ら三人はしばらく呆けてしまった。
「そもそも私はいったい誰なんでしょうか?」
「…………蓮子さん。メリーさん。これって」
「メリー。もしかしたりする?あなたの専攻でしょ?心理学」
「正確には相対性心理学だけれど、ええ。もしかしたりするわ。完全にこれは記憶喪失ね」




 どうやらドーパントだけでなく早苗も記憶喪失(メモリブレイク)してしまったらしい。



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