暁 〜小説投稿サイト〜
東方幻想探偵
0.Jの序章/動き出す風
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「はぁぁぁぁぁぁぁっ!りゃぁ!」
 蓮子さんの空中回し蹴り『アクセルグランツァー』と俺の飛び蹴り『ライダーキック』が炸裂する。
「―――――絶望があんたのゴールよ」
 俺らの後ろでドーパントが爆散する。能力によって覆われていた闇は消えて周囲が景色が元に戻った。そして体内からメモリが排出され、メモリのイニシャル部分が砕けた。これでドーパント退治の終了だ。俺たち、いや。俺ら弟子にこれを託した親父はメモリブレイクと呼んでいた。

「まったく。どっから湧いて出てるんだか」
「キリがないな」
 排出されたメモリ―――――ダークネスメモリの残骸を見ながら。そうつぶやくと。蓮子さんからも同意の答えが返ってきた。
「しっかし、ずいぶんと移動したもんだ」
「まったくですよ。森の中じゃないですか」
 おそらくここは、神社の境内を囲んでいた森林のどこかだろう。相手を追いかけ戦っていたらいつの間にか移動していた。
 二人で溜息を吐いていると、蓮子さんの携帯から着信音が鳴る。
「どうしたのメリー?こっちはもう片づいた(ry」
『大変なの!?早苗ちゃんが消えちゃったの!?』
「早苗が消えたぁ?」
 メリーさんの声のでかさと、蓮子さんの飽きれと疑問符交じりの声によって俺にも話が聞こえてきた。早苗が消えた?どういうことだ?
「迷子にでもなったんじゃないの?」
『違うのよ!?音もなく消えていたの!まるで神隠しにでもあったのかのように!』
「…………まさか、境目に飲み込まれたんじゃ」
『だから言ってるんじゃない!』
 結界の境目に飲み込まれる。そんな事例は今のところ聞いたことはない。もしそんなことになっていたら探し出す手段がなくなることになる。
「わっかたわ。こっちでも探してみるわ」
 蓮子さんのアイコンタクトを受け取り、早苗の携帯に電話をかける。もしかしたら、メリーさんが気付かなっかっただけで実は本当に迷子になっているだけなのかも。
 そして、しばらく鳴らしていても出なかったので切ろうとしたその時だった。
「ちょっと待って、何か聞こえない?」
 耳を澄ましてみると、それは
「早苗の着メロ!」
 頷きあうと、音のなる方へ全力疾走で駆け出した。
 しばらくして留守番電話サービスに入ってしまいまた掛け直しということをしていると再び境内に出た。そして、そして着メロの出どころの拝殿へ目を向けると、賽銭箱へもたれかかっている早苗を見つけた。
「早苗!」
 俺は駆け寄ってそばに近づく。
「どう?どこかケガしてる」
「いいえ。気を失っているみたいです」
「と、いうわけよ。メリー」
 後ろを振り向くとゼーハーゼーハーと普段のお淑やかさなど微塵も感じさせない肩で息をしていたメリーさんがそこにいた。
「そう。ハァ、なら、よかったわ。ハァ」

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