0.Jの序章/動き出す風
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るんですか!」
結局あの後すべて振り切る勢いで準備したが、俺が間に合わなかった。その結果予定していた電車を二本も逃したのだ。それでもまだ五分の遅刻抑えられているのは早苗のタイムマネジメントのおかげだろう。改札を抜けロータリーへ走っていくとやはりと言ったところか、二人の女性がいた。
「すみません!蓮子さん!メリーさん!遅れました!」
「あらかじめ聞いてたから大丈夫よ早苗ちゃん。どうせまた丞一君が悪いんでしょ?」
ジト目で睨んでくる。だが、
「何も反論はない!」
スパパァン!と深緑色の「なんでやねん!」と書かれたスリッパと、「いばるな!」と書かれた守矢神社のお祓い棒が頭を叩いた。
「いつつ、すみませんねほんとに。どれくらい待ちました蓮子さん?」
「私に質問するな!」
「えぇ」
この人たちは宇佐見蓮子さんとマエリベリー・ハーンさん、通称メリーさんだ。俺らの高校の秘封倶楽部のOBの人たちで創設者だ。
マエリベリー・ハーン。通称メリーさん。後ろにいるわけではない。早苗とともに秘封倶楽部のツッコみ役だ。白と紫のツートンとナイトキャップがトレードマークだ。なぜかいつも突っ込み用のスリッパを常備してる。
もう一人は宇佐見蓮子。中折れ帽も含めたモノトーンカラーがトレードマークだ。てかこの二人は基本この色の格好をしてる。俺の親父、慶条宗一の探偵の助手をしていた。今は独り立ちしており、ある事件を片手間に追っているらしい。
「蓮子はほんの数分に来たばかりよ」
「ちょっとメリー!あんなこと言った手前かっこつかないでしょ!」
やっぱり遅刻してたか。この人が集合時間より前に来る、もとい集合時間に来ることがないからな。
「まったく、師匠が同じだと弟子の悪いところも似るんですかね?」
「まったくそうねー」
宗一さんはそんなことなかったのに、と早苗とメリーさんが呆れてそう言う。
俺も探偵としての師匠は親父だ。だが、親父は四年前にある事件を追って以来行方知らずだ。
なし崩し的に俺が親父の慶条探偵事務所を継いだ。
「まあ、ふざけるのはこれくらいにしてそろそろ行きましょう」
「ここね」
蓮子さんの車を降りしばらく歩くと廃れた無人の神社があった。まだ守矢神社の方がましだろう。何なら神社の名前が擦れていて見えないし。部首が十なのはわかるんだが、それだけだ。
「メリー。何か見える?」
「…………見えないわ。でも、境目の残り香?のようなものは感じるわ」
俺たち四人は何らかの特殊能力のようなものを持ってる。というより先輩二人はこの能力のこともあり秘封倶楽部を作った部分はあるだろう。
メリーさんの能力は『結界の境目が見える程度の能力』だ。メリーさん曰く今俺たちがいる世
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