132部分:第十話 夏に入ってその十四
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第十話 夏に入ってその十四
「私もそう思います」
「そういうものか」
「それを考えたら太宰はやっぱりいいですよね」
ここまで話してまた太宰に話を戻すのだった。
「言っていること、伝えたいことがわかりますから」
「そうだよな。それは凄いわかるよな」
「それが本物だと思います」
要するに太宰はそれだというのだ。
「それにあの人自殺しましたけれど」
「うん」
「卑怯ではなかったです」
「卑怯じゃなかったんだ」
「問題もありましたけれど正々堂々としていました」
甘ったれているという意見もある。しかし太宰はあくまで卑怯ではなかった。己の信念や考え、良心にあくまで忠実であったのである。
「ですから私あの人は」
「認められるんだ」
「はい、そうです」
その通りだというのである。
「私はですけれど」
「そうなんだ」
「斉宮君はどうですか?」
「太宰はそこまでまだ読んでいないけれど」
「そうなんですか」
「けれど。そうかも知れないな」
応えながら月美のそうしたしっかりした考えに頷いているのだ。
「実際にさ。それは」
「そうですか」
「うん、そう思うよ」
また言う彼だった。
「俺もね」
「わかりました」
「何か西堀って文学部とか合いそうだね」
「大学のですよね」
「うん、そこね」
まさにそこだというのだ。
「大学の文学部。合いそうだね」
「私も。大学は文学部に行きたい思っています」
「そうなんだ」
「はい、そうです」
本人もそうだと言うのだった。
「私も思います」
「そうか。だったら」
「斉宮君はどうするんですか?」
「俺?」
「はい、大学は」
「経済学部だけれど」
赤瀬に話したことをそのまま言うのだった。
「そこにさ」
「経済学部ですか」
「八条大学の」
学校まで話すのだった。
「そこを受けようかなって思ってるんだ」
「大学は一緒ですね」
月美は陽太郎の今の言葉を受けてさらに微笑んだ。
「学部が違うだけで」
「同じかな」
「同じじゃないですか」
また言う月美でだった。
「八条大学ですから」
「八条大学な」
「あそこいい大学なんですよ」
満面の笑顔になっていた。
「とても」
「そんなにいいんだ」
「博物館もあって図書館なんか本当に凄くて」
笑顔が輝いていた。そのうえでの言葉だった。
「美術館もありますし」
「何でもある大学なんだ」
「キャンパルもとても広いですし」
「そうだよな。うちの高校もその一角になってるしな」
「系列学校ですし」
八条高校は一応付属高校になっている。それを踏まえてだった。
「ですから同じになりますね」
「そうだよね。それじゃあ」
「それじゃあ?」
「一緒の大学行くよう
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