第五十七話 東へその四
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「情報を集めるでござるな」
「そうしよう」
こう言うのだった。
「是非な、仲間の話にな」
「その他にもでござるな」
「この島のことにな」
「魔神のことも」
「聞きたいが」
それでもと言う英雄だった。
「魔神のことはな」
「まだ何も、ですね」
良太は英雄の今の言葉に苦い顔で応えた。
「わかっていませんね」
「具体的なことはな」
「神といっても様々ですが」
それでもと言った良太だった。
「魔神といっても」
「具体的にどういった存在かはな」
「一切わかっていません」
こう英雄に話した。
「まことに」
「そうだな、本当にな」
「しかしですね」
「敵を知らないと何も出来ない」
兵法でも言われていることだ、英雄はこのことを念頭に置いて今も旅をしているのだ。
「俺達にとって究極の敵だが」
「まさに打倒すべき」
「しかし何もわかっていない」
その敵のことがというのだ。
「これでは島を統一して魔神と戦うにしても」
「勝てる戦もであります」
峰夫も言う。
「勝てないであります」
「そうだ、敵を知らないで戦ってもだ」
「敗れるでござるな」
「敵を知り己を知るだ」
英雄は腕を組み冷静な顔で言った。
「まさにな」
「そこからであります」
「だからだ」
何としてもとだ、また言った英雄だった。
「魔神のことを知りたいが」
「今のところはであります」
「何もわかっていない」
まさに何一つだ、島の下に広がる世界を海で覆っているということだけがわかっているという状況だ。
「見事なまでにな」
「それでは」
「魔神のこともわかれば」
英雄達にとってはこのことも願いだった、それも切実な。
「いい、ならな」
「岐阜、名古屋にも行き」
「情報を集めよう、この島は幸い書が多く」
そしてというのだ。
「保存もいい」
「はい、それもかなり」
謙二も言ってきた。
「いいですね、むしろ西の島よりも」
「書は多く保存状態もいいな」
「はい」
「だからだ」
「書もですね」
「読みそうしてな」
そのうえでというのだ。
「魔神のこともな」
「読めればいいですね」
「そう思っているが」
「比叡山にあったか」
謙二はこの山のことを思い出した、この世界のこの島においても比叡山は相当な名刹であり多くの書を収めているのだ。
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