第五十七話 東へその三
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「聞かせて欲しいんだな」
「ああ、そうしてくれるか?」
「わかった」
お茶を一口飲んでからだ、英雄は久志に応えた。
「そうさせてもらうな」
「それではな」
「頼むな」
こう話してだ、そのうえで。
英雄は自分の冒険の話をはじめた、それはどういったものかというと。
甲賀で耕平を仲間に加えた英雄達は旅を続けていた、琵琶湖の沿岸を東に沿って進み今度は東の方に向かっていた。
その道中で何体かの濡れ女が琵琶湖から出て来て襲い掛かってきたが一行は何なく倒してそのうえでだった。
魔物達が姿を変えた金塊を回収しつつだ、当季が言った。
「ここからさらに東に行くとぜよ」
「岐阜、それに名古屋であります」
峰夫が当季のその言葉に応えた。
「そうした街に行けるであります」
「そうぜよ、しかし」
「しかし?」
「そこにわし等の仲間がいるか」
「それが問題でありますか」
「そう思うがどうぜよ」
「そうだな、しかし名古屋に行くとだ」
英雄は二人の言葉を聞いてこう言った。
「人が多いな」
「はい」
峰夫は英雄にも答えた。
「そうであります」
「それならだ」
「名古屋にですか」
「行くか、そこで情報を集める」
そこにというのだ。
「他の仲間のことも、それに」
「それにですか」
「そうだ、東の方のことも知りたい」
この島のというのだ。
「だからな」
「岐阜や名古屋にでありますか」
「行こう、出来れば江戸や東北にも行きたいが」
今後はというのだ。
「今はな」
「岐阜や名古屋に」
「行こう」
こう言ってだ、実際にだった。
一行はこのまま東の方に進むことにした、そうしていくとやがて琵琶湖から離れた。するとだった。
湖が見えなくなりだ、謙二は感慨深そうに言った。
「いや、琵琶湖とも今は」
「この世界の琵琶湖とも」
「お別れですね」
「そうなりますね」
良太が謙二のその言葉に応えた。
「今暫くは」
「またここに来ることになるでしょうが」
「今は」
「お別れですね」
「また会う時まで」
琵琶湖、この湖とはというのだ。
「魔物も出てきましたが」
「大きく奇麗でそれで」
「親しみも持てましたね」
「非常に」
こう二人で話してだ、そしてだった。
一行は今は琵琶湖と別れた、そのうえで。
さらに東に進むがその夜に休む時にだ。
英雄は一行にだ、夕食の焼き魚を食いつつ仲間達に話した。
「まずは岐阜の街に入るが」
「その岐阜で、でござるな」
正からこの世界限定で名前を変えた智が応えた。
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