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アオハル〜殺戮の天使達の青春〜
知っちゃった気持ち

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体育館
ボンッボンッとバスケットボールをつく音が聞こえる。バスケ部のザックは気怠そうに練習試合に取り組んでいる。気怠いと言っても、ザックは運動神経抜群のため楽々とシュートをきめていく。そして、大差で勝利し休憩をとっているとき、ある1年生が目に入った。

1年C組のレイチェル?ガードナーだ。

(あいつ...最近頑張ってんな...)
「最近」ということは、ここしばらく彼女を見ているということになる。ザックと彼女は中学の時から一緒だったが、話をすることもなかった。まぁ、部活の先輩と後輩という関係で終わっていた。でも、ザックは最近なぜだか彼女のことを考えるとムズムズするような、そんな感覚になっていた。そのよくわからない感覚に、ふぅと溜め息をついた。
その瞬間(とき)、彼女が見事にシュートをきめた。ザックは一瞬「おぉ」と心の声が漏れそうになったが、ギリギリのところで堪えた。
「よし」
ザックには、彼女がそう言ったような気がした。
(何なんだよ...この気持ち)
珍しく顔をしかめて考え事をしているザックに、後ろからいきなり声を掛けられた。
「やっほー、ザック!」
その声に一瞬ビクッとなったザックだが、後ろに振り返って
「なんだ、お前かよ。」
と、呆れて言った。そこには、クスクスと笑いながらエディが立っていた。
「もー、ザックたらそんなに驚かなくてもいいのに。」
こいつは昔からこんな奴だ、ザックはそう自分に言い聞かせた。
「で、なんか用か?」
「えーっと、別に用ってほどでもないんだけど...ザックが珍しく女の子を見てるから来てみただけ。」
(女の子...?あぁ、あいつのことか)
女の子...そう考えると急にもどかしくなってきた。
「あぁ?なんか、文句あんのかよ。」
ザックは、苛立ちを含んだ声でそう聞いた。
「文句って言うか、ボクあの子のこと...好き...だから、あんまり邪魔しないで欲しい...」
少し照れながら、エディははっきり言った。
(あいつのことが...好き...なのか、こいつ)
まぁ、自分が気にする事でもない気がしたが、人を好きになった事がないザックは少し戸惑った。
「そういえば、ザックって好きな人いるの?」
エディは、急に明るい声色で聞いた。でも、ザックは逆に少し声のトーンを落として、
「今んとこいねぇし、そもそも出来たこともねぇ。」
この年になっても恋ができない自分が、少し情けなく思えた。
「ザックってよく告白されてるけど、相手に興味を持ったことないの?」
「別に...」
ザックは平然と答えた。
「ふーん...」
するとエディは、急に興味がなくなったようで、その場を去った。
ザックの耳にはその時の、ボールをつく音がやけにはっきりと残った。
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