暁 〜小説投稿サイト〜
ハイスクール D×D +夜天の書(TS転生オリ主最強、アンチもあるよ?)
第1章 これから始まる物語
第5話 悪魔のような聖女
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った――


『おや?お嬢さん。日本は初めてなのかい?
あてどなく彷徨っているようだが、ボクが町を案内してあげよう。
なあに。ずっとこの町に住んできたんだ。安心するがいい』

 
 悪魔言語ではない、本物の英語で声をかけられた。
 振り返ってみると、亜麻色をした肩にかかるくらいのショートカットの女性
 ――彼女はどうみても日本人だ――が、話しかけていた。
 付き添いという名の監視役の堕天使が、止めようとするが、
 あっという間に、観光することになってしまった。


 なんだかんだで、その堕天使も退屈していたらしく、楽しんでいたようだ。
 アーシアも、つかの間の幸福を味わうことができた。
 こちらに人懐こい笑みを浮かべる少女
 ――八神はやては、再開の約束までして、去って行った。





 アーシア発見。


 やはり、顔色はすぐれないようだ。
 深呼吸して、突撃。ナンパに成功。
 張り付いていた堕天使も、話のわかるヤツで、いっしょに町を見て回った。

 
 帰り際には、少しだけ元気がでたようにみえたが、
 沈んだ顔をした理由を尋ねたボクに対して、


――『ありがとうございます。もう、私は大丈夫です』


 と、綺麗な笑顔で返答した。
 明らかに、嘘だとわかった。
 が、他人を巻き込みたくない、彼女なりの気遣いだと分かる。

 
 それは、とても優しい嘘だろう。
 ――彼女は、自分自身よりも他人を優先するのだから

 それは、とても残酷な嘘だろう。
 ――彼女は、頼れる人がどこにもいないのだから


 なんとかしてやりたい。と、ボクは改めて思う。

 『僕は、理不尽な非日常に苦しめられる人たちを救いたい』

 『天使だの堕天使だのといった存在は、僕たちが住む人の世とは相容れない』

 アーシアは必ず救う。救ってみせる。
 だから、もうすこしだけ待っていてほしい。
 きっと、兵藤一誠たちが助けてくれる。もちろん、ボクたちも。
 

 ……とはいえ、待つだけでは退屈だろうから、お姉さんが傍にいてあげよう。
 

――明日は、ゲームセンターに連れて行ってあげよう。

――なに、遠慮することはない。費用は、お姉さんもちだから。

――そこの付き添いの方も、いっしょに如何かな?





 その後、数日の間、アーシア(おまけで堕天使)と、遊んで回った。
 短い期間だったが、お互いの距離はだいぶ近づいたように思う。
 ボクも、「遊んであげる」のではなく「いっしょに遊ぶ」ことで、楽しんでいた。
 八神家では、末っ子だったからだろうか。
 お姉さん風を吹かせるのは、存外よいものだった。


 
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