厄災の月
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なることで民の心を一つにし、陛下への忠誠心を高めさせ、国を繁栄させるために作り出したウソ・・・そこから人々に「厄災の魔導士」と恐れられたことから、そのままの二つ名が定着してしまったのだ。
「何とも悲しきことだ。国を栄えさせるために自らが悪になり、その悪い噂は一生消えることもなく生き続けてしまっている。あいつがどれだけ苦しい状況にいるか、考えただけで涙が出てくるぜ」
ラクサス、一夜、スティング、ローグと四人を一度に相手にしているにも関わらず饒舌に昔話をしながら戦闘を繰り広げているティオス。反対に、聞いているだけの彼らの方が息が乱れていた。
「んな話を俺たちは聞きたいんじゃねぇ」
「そうだ・・・スプリガンの子供ってのがどいつなのか聞かせろと言っているんだ」
その言葉を聞いた瞬間、ティオスは呆れてしまった。肩を竦め首を振るティオス。彼は大きなタメ息を付いて話し始める。
「お前らさぁ、察しが悪すぎるよなぁ」
「何?」
「俺がなぜこんな下らない昔話をするか、答えは明白だろう」
仮にも自分が所属している国で長きに渡って語り継がれている昔話を下らないとバッサリ切り捨てるティオス。彼のその無神経さに苛立つ気持ちもないわけではないが、それを気にしていられるほどの余裕がないのも事実。
「黒魔導士の子・・・それが厄災の魔導士、オーガスト・V・ドラグニルだ」
「「「「「!?」」」」」
その告白は彼らの中に大きな衝撃を与えた。魔導王の異名を持つ男がゼレフとメイビスの子・・・それだけでも十分すぎる衝撃なのに、ティオスの言った彼のフルネームが困惑の大きな要因であることは間違いない。
「ドラグニル?」
「ナツさんと同じ苗字?」
「どういうことだ?」
Vは妖精の尻尾の初代マスター、メイビス・ヴァーミリオンのVであることは容易にわかる。だが、なぜオーガストの苗字がドラグニルになるのか、それが検討もつかなかったのだ。
「そういえば、このことを知ってるのは多くはないんだったな」
その反応を見てあることを思い出したティオス。彼はニヤリと笑みを浮かべると、語り出した。
「黒魔導士とナツは兄弟だ。しっかりと血の繋がったな」
「「「「「!?」」」」」
その告白に雷が降ってきたかのような衝撃を受けた。だが、それがすぐにおかしいと感じた者もいた。
「ナツは15年前に親代わりのドラゴンが目の前から消えたと言っていた。その頃は子供で今は成人している・・・ゼレフの兄弟っていうのには、ちと無理があるんじゃないか?」
ゼレフは400年前からずっと生きている存在。仮にナツが血の繋がった兄弟だと仮定すると、あまりにも年が離
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