第二十七話:報復1
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「おや?私としては隠し玉だと思っていたのですが」
「ご冗談を」
しばし二人は談笑していたが、双方の目は全く笑っていなかったという。
二日後、ラシャは管制機のプロペラントタンクの中に押し込められていた。
「千冬ちゃんと水杯交わしておくべきだったな」
そうぼやくラシャの口調は軽い。真に危険な状況に追い込まれた時、くぐり抜ける自信があったからだ。
「ブ、ブリュンヒルデと親交があるのですか?」
通信から恐る恐る質問が届く。この女尊男卑が蔓延る中、最先端の装備を与えられた謎の兵士。漸く口を開いたと思いきや大者の話題が出てきた。興味を持たないようにするのは無理だったようだ。
「悪いが舌を噛みたくない。切るぞ」
ラシャは含みを持たせたまま通信を切断する。同時に振動がタンクを襲うと同時に、不愉快な浮遊感に包まれた。数十秒後、轟音と共にショックを和らげる仕掛けが作動したが、ラシャの汗腺から漆黒の液体が吹き出してタンク内を満たした。ドイツでラシャの心臓吸収したシュヴァルツェア・レーゲンの成れの果てだ。
見事に衝撃を殺しきったラシャはタンクの仕掛けを作動させた。人間魚雷さながらに進行するプロペラントタンクは波間をたゆたうように移動し浜辺に漂着した。
「今更だが、この潜入方法を考えた連中はどうかしてるぜ」
あとでお礼参りしてやると毒づきながらも、ラシャは偽装網をプロペラントタンクに貼り付けて岸辺に固定した。
「さて、あそこに接舷してる空母を吹っ飛ばしましょうかね」
ラシャはボイスチェンジャーが備え付けられたガスマスクを装着した。
某年某月某日パークライナー級秘匿空母「エルボー」にて。
モンド・グロッソアメリカ代表イーリス・コーリング大尉は自らの出番の無さを嘆いていた。徹底的現場主義の彼女はじっとしている事が出来ない性格で、出来ることなら常にISに登場していることを望む様な女傑だ。
「ああ畜生!何でアタシが!国家代表で虎の子のイーリス・コーリング様が後詰何だよォ!!」
空を飛び回って華々しくドンパチしている格下の朋輩達を苦々しげに睨みつけながら、すっかり萎縮しきっているオペレーター達を睨みつける。
「こ、コーリング大尉。何か修正点やアドバイスを……」
「立ち回りが悪い!マニュアル操作に慣れない下手糞じゃねえんだぞ!もっと足回り意識していけ足回りを!!」
「い、イエスマム!!」
イーリスの檄をモロに受けた米軍ISパイロット達は搭乗機のラファールやファング・クエイクを慌ただしく操作しながら演習用のミサイル迎撃に備えていく。
「ったく、あーあ。現場に出られないならもっとヤワな体に産まれたかったぜ
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