第二十七話:報復1
[1/3]
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
某年某月某日。地図から消された島にて。
編田羅赦は新世代型のISスーツに身を包み、浜辺を疾走していた。此処は先の世界大戦の際、島民が全員死亡した後に名前を消され、米軍に秘密裏に『割譲』された孤島であった。
朝鮮戦争の折には秘密の捕虜収容所として、現在も特定の犯罪者や捕虜を収容する『東洋のグアンタナモ』と呼ばれている危険な場所だ。
何故この様な場所に居るのか。それは数日前に遡る。
「アメリカ政府への報復を行います」
「唐突に何を!?報復って我々何かされましたかね?」
唐突に理事長室に召喚されたラシャは、若干顔に怒りの色を滲ませた轡木理事長に唐突に告げられた。
それは、かつてラシャが従事した篠ノ之姉妹合流阻止作戦の折に発生した、アメリカ・イスラエルが合同開発した最新IS、銀の福音の暴走事件。通称、『福音事件』に端を発する。
アラスカ条約を無視した軍事使用を目的に製造された銀の福音はハワイ沖で演習中に突如として暴走。IS学園が臨海学校という名の運転試験に乱入し、少なくないダメージを与えた。織斑一夏を始めとした代表候補生チームの活躍により、民間被害は皆無のまま福音は沈黙。後にアメリカ軍によって回収された。
「尚、米軍側はアラスカ条約違反並びに日本の領海を脅かし、あまつさえ我々が抱えている生徒たちの生命を脅かしたことについては何の釈明も弁明も行っていない……巫山戯ているとは思いませんか?」
辛うじて怒りを隠している十蔵に対して、ラシャの反応は至極軽いものだった。
「まあ、相手の気持も解らないこともないですが、一報は欲しいですよね」
「正直に言ってもいいのですよ?」
「アメリカも日本も知ったこっちゃないね。何せ日本政府は俺の家を無かった事にしたからな」
「なるほど、そうきましたか。耳が痛い」
ラシャの意外な反応に苦笑した十蔵は、スクリーンの展開スイッチを押すと、空中ディスプレイを展開させた。日本列島が表示されたがすぐにズームアップされ、在る孤島を指し示した。
「すでに名前が抹消された島ですが、この島にはアメリカ軍の捕虜収容所があります」
「初耳ですな」
「朝鮮戦争の時代から使用されていましたからね。今もまだアジアに於ける作戦の捕虜や戦争犯罪人が収容されています」
「正にグァンタナモ米軍基地だな」
「中々良い点を衝きますね。正にそこですよ」
「まさか私を呼んだのって……」
冷や汗をかくラシャに対して、十蔵は待ってましたとばかりに笑みを深めた。
「ええ、二日後の日米合同演習に合わせてそこに潜入し、米軍の秘匿空母を破壊して頂きたい」
「私を非正規の工作員か体のいい鉄砲玉だと思ってませんか?ただの用務員ですよ?」
[8]前話 前書き [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ