第四十四話 二人でお外に出てその三十一
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「それが理由になるの」
「なりません?」
「ならないでしょ、けれど支払い終わったし」
本当にそれが早かったです。
「いいわ、けれど次はね」
「先輩が払われるんですか?」
「そう言ったらまた阿波野君出すって言うし」
もうこの展開になるのは目が見えています。
「割り勘にしましょう」
「割り勘ですか?」
「それならいいでしょ」
どうして阿波野君がここまで自分が出すことにこだわっているのかがわからないけれどこれならと実際に思いました。
「阿波野君も」
「いえ、やっぱり出させて下さい」
「まだそう言うのね」
「先輩にとってもいいですよね」
「だから後輩の子に出させるのはね」
「こうした時は僕が出すものですよ」
何かお話が平行線になってきました。
「ですから」
「引かないわね」
「はい、どうしても」
にこりとして強い口調で言ってきました。
「いいじゃないですか」
「どうしても出すの?」
「はい、そうです」
「仕方ないわね」
もう言い合ってもお話が終わらないと思いました、それで私も諦めてそのうえでこう言いました。
「そこまで言うのなら」
「そういうことで」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「私だけにしておいてね」
阿波野君を眉を顰めさせて見ながら言いました。
「そうしてね」
「僕芋そうするつもりです」
返事はあっさりとしたものでした。
「先輩としか二人だけで歩かないですし」
「私だけとなの」
「もう決めてますから」
だからだというのです。
「先輩だけですよ」
「だといいけれどね」
どうにも引っ掛かることだらけにしてもです、納得したらもう蒸し返すのもどうかと思って言いました、
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