巻ノ百三十九 鉄砲騎馬隊その十
[1/2]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
「明日は右大臣様に大御所殿の御首を持って来ます」
「そうされるのですか」
「必ずや」
これ以上はないまでに強い声での返事だった。
「そうさせて頂きます」
「そうですか」
「その為にも今は」
「城にですな」
「戻りましょう」
こう言ってだった、幸村は己の軍勢に高らかに言った。
「今日はこれで下がるわ」
「わかり申した」
「ではこれより」
「退く軍勢全体の殿軍も務める」
兵達にこうも告げた。
「そうするぞ」
「そうしてですな」
「明日こそは」
「大御所殿の御首を」
「そうしますな」
「そうする、だから今は下がるぞ」
己の兵達に話した、そうして退く法螺貝を鳴らさせてだった。幸村は己が率いる兵達を下がらせた。退く大坂の軍勢全体の殿軍も務めつつ。
幸村は退く時も自ら両手に一本ずつ槍を持ち戦っていた、そうして十勇士達と共に殿軍のさらに殿軍を務めていた。その中には大助もいてだった。
果敢に戦っていた、幸村はその大助に問うた。
「足を怪我しておるな」
「はい、しかしそれがしも戦の場で」
「敵をか」
「倒しております」
「そうか、よくやった」
幸村は我が子のその武勲に笑顔で応えた。
「そのこと褒めさせてもらう」
「有り難きお言葉」90
「そしてじゃが」
さらに話す幸村だった。
「下がるぞ、そろそろな」
「我等もですな」
「敵は充分に倒し退けてな」
「我等の軍勢もですな」
「かなり下がった」
戦の場からというのだ。
「そうなったからな」
「だからですな」
「うむ、退くとしよう」
これよりとだ、幸村は槍を振るい攻めて来る敵達を倒しつつ大助に話した。周りでは十勇士達も果敢に戦っている。
「そしてな」
「これより」
「うむ」
まさにと言うのだった。
「城まで下がろう」
「そしてそのうえで」
「大坂に帰るぞ」
「それでは」
こう言ってだ、幸村達はだった。
殿軍として迫る伊達家の軍勢を退けてだ、そのうえでだった。
無事に大坂に戻った、これには戦を見ていた政宗も唸った。
「あれ程見事な殿軍はな」
「これまでですな」
「見たことがないですか」
「殿も」
「多くの戦を行ってきたが」
それでもというのだ。
「あそこまではなかったわ」
「ですか、やはり」
「殿もそう言われますか」
「あそこまでの見事な殿軍はなかった」
「その様にですか」
「実際にそうじゃからな」
それでというのだ。
「こう言う、まさに天下の武者じゃ」
「真田左衛門佐殿は」
「そうした方ですな」
「この戦で見事に名を挙げておられますが」
「それだけの方ですな」
「先の陣でも見事じゃった」
真田丸での戦の時もというのだ。
「そして今もじゃ」
「
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ