巻ノ百三十九 鉄砲騎馬隊その七
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「前に突き出して」
「そしてですか」
「敵の騎馬隊を突き崩す」
「そうせよというのですか」
「そうじゃ、突いてそのうえで崩すのじゃ」
伊達の鉄砲騎馬隊、今は鉄砲を収めて刀を抜いて斬り込んでくる彼等をというのだ。
「よいな」
「はい、では」
「そうしましょうぞ」
兵達はまずは兜を着けた。そうして。
幸村の次の命を待った、鉄砲騎馬隊が今にもだった。
斬り込もうとする時にだ、幸村は采配を振るった。
「立つのじゃ」
「はい!」
「今こそ!」
「それと共に槍を出すのじゃ」
幸村のその言葉に従ってだ、そのうえで。
兵達は立ち上がると共に槍を一斉に突き出した、すると今まさに刀を振り下ろさんとしていた敵の騎馬隊にだった。
槍が一斉に突き刺さった、そしてそのままだった。
幸村は一気に攻めさせた、ここで彼は自ら馬を駆り十勇士達に言った。
「よいか、我等もじゃ」
「はい、これよりですな」
「伊達家の軍勢を攻めますするな」
「鉄砲騎馬隊を止めましたし」
「さらにですな」
「攻めていく、そして伊達殿の本陣もじゃ」
政宗が率いるそちらもというのだ。
「攻めていくぞ」
「はい、では」
「そうしましょうぞ」
「まさに我等の武の見せどころですな」
「真田の」
「攻めて攻めていくぞ」
攻勢に転じた今はというのだ。
「よいな」
「わかり申した」
「ではです」
「我等も術を駆使し」
「敵を倒していきまする」
「今も敵の首は捨ておくのじゃ」
例え倒してもというのだ。
「よいな、我等が獲る首のことは何度も言うが」
「大御所殿です」
「あの方の御首だけです」
「他の首はない」
「この度の戦では」
「そうじゃ、だからどれだけ倒してもな」
それでもと言うのだった。
「首は獲らず遮二無二じゃ」
「攻めてそうして」
「敵を退ける」
「そうしますな」
「そうせよ、ここで大御所殿の御首を獲ることは適わぬが」
しかしというのだ。
「明日、大坂の南でじゃ」
「遂にですな」
「そこにおいて」
「大御所殿の陣もある」
「ですから」
「攻めるぞ」
こう言ってだ、今はだった。
幸村もまた十勇士達と共にだった、自ら馬を駆り両手にそれぞれ十字槍を持って伊達家の軍勢に突き進んだ。
その彼を見てだ、伊達家の者達も声をあげた。
「あの鹿の角の兜間違いない!」
「真田殿じゃ!」
「真田左衛門佐が来たぞ!」
「後ろに十勇士達もおるぞ!」
「真田殿を討てば大きい」
片倉もその幸村を見て言う。
「褒美は思いのままぞ」
「では、ですな」
「ここはですな」
「真田殿の首を取る」
「そうせよというのですな」
「そうだ、皆の者怯むでない」
今は彼等が押されている、だがそ
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