暁 〜小説投稿サイト〜
銀河英雄伝説〜生まれ変わりのアレス〜
解決?
[1/5]

[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話

「いや、マジだってまじ。ホントの話!」
「嘘つけよ」
 浮ついた口調で語る言葉。

 それはおそらくは学生だけに許された特権なのだろう。
 少なくとも戦場に出れば、彼らの口調は実力行使によって訂正されるであろう。
 ただその戦場前の――学生食堂での一時は許されてもしかるべきかもしれない。
 少なくとも生徒しかいない空間であるならば。
「だから、俺この前外に出ただろ」

「知ってるよ、姉さんの結婚式にハイネセンまでいったんだろ?」
「そこで本当に見たんだってさ!」
「だから、それが嘘だろ」
 興奮気味に身を乗り出す少年を前に、反対にいる少年は冷静そのものだ。

 呆れたようにパスタをすすれば、話を聞けと少年が机を叩いた。
「だから見たんだって。あの烈火のアレスのデートをさ!」
「あのな」
 呆れたように対面に座る少年が口に、ミートボールを入れた。

「アレス先輩が卒業して、もう半年経つぞ。そもそもお前はアレス先輩の顔見たのはシミュレーション大会の時くらいだろ?」
「間違いないと思ったんだけどなぁ。でも」
「ん?」

「目元に傷があった気がする」
「ほら、アレス先輩の顔に傷なんてなか――」
 ガシャン。
 そう言いかけた少年の言葉は、食器が叩きつけられる音で止められた。
 何事だと睨もうとして、そこに上級生であり――そして、二学年の主席であるライナ・フェアラートの姿だ。まだ一学年の――いや、例え上級生であっても言葉には出来なかったかもしれない。

 その瞳に映る鬼のような表情を見たのならば。
「ええと。ごめんね」
 と、金褐色の女性が申し訳なさそうに謝った。
 こちらも有名――二学年で次席であり、何より現役の軍人を父に持つフレデリカ・グリーンヒルだ。
 そんなフレデリカの謝罪すら気にも留めないように、ライナは怯える二人を見た。

「どうぞ。話を続けるとよろしいかと。具体的にはデートしたのを見たあたりから」
「えっと」
 本来であれば二学年の――いや、学園で一、二を争う美人に挟まれれば嬉しいはずであろうが、一学年生二人にとってはまるで地獄のようで。
「どうぞ。ご遠慮なさらなくて結構ですのよ」

 戸惑う少年達に、ライナの笑みは、地獄の獄卒を想像させた。

 + + + 

 白い教会で結婚式が行われている。
 幸せそうな女性と、照れながらも嬉しそうな男性が並んでいた。
 幾度となくフラッシュが光る光景に、アレスは満足そうに歩いていた。

「久しぶりにうまいものを食べた。本当ありがとう」
「よ、喜んでいただけて良かったです」
 微妙そうな笑みを浮かべながら、シノブは不思議そうにアレスを見た。
 日本という国が存在しなくなって、何百年もたつ。
 もちろん、その
[8]前話 前書き [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ