第5章:幽世と魔導師
第161話「多勢が無勢」
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「『……時間がないから、簡潔に説明する。大門から湧いてくる妖は彼女に任せよう。どうやら妖に詳しいだけでなく、戦力的にも十分なようだからな』」
なのはが奏を助ける直前に、クロノは念話で軽く指示を出していた。
「『わかっていると思うが、奏も長くは保たない。むしろ、持ち堪えているのが驚きなぐらいだ。……それだけの実力差を踏まえた上で動いてくれ』」
念話越しでも、クロノの焦りと恐怖がわかるようだった。
それほどまでに、クロノは大門の守護者の力を恐れている。
「『細かい連携は各自の判断に委ねる。援護や遠距離が得意なものは魔力弾などで牽制。フェイト以外の近接戦ができる者は、非常に危険だが何とか守護者の足止めをしてくれ』」
『クロノ、私は……?』
自分だけハブられたことにどういうことなのかとフェイトは聞き返す。
「『フェイトは初撃を放ったとほぼ同時に奏を離脱させてくれ。それと、司もだ。終われば、中距離でも近距離でもいい。足止めに加わってくれ』」
『……わかった』
もちろん、危険がない訳ではない。
近接戦をする面子と、救出に向かうフェイトは一番危険に晒される。
そのことが理解できるため、全員が恐れを抱いていた。
しかし同時に、そうしなければ為す術なくやられることも分かっていた。
「『……作戦、などとは言えんが、開始だ。……全員、死ぬなよ』」
念話を締め括るクロノの声色には、決死の覚悟が灯っていた。
―――そして作戦は決行され、なのはが奏を助ける場面に繋がる。
「私がシュツルムファルケンで牽制する。巻き込まれずに奏を連れて離脱できるか?」
「大丈夫。……牽制でなくとも、十分攻撃には……」
「ならん。……先ほども神夜を離脱させるために放ったがあっさりと防がれた。隙を突かなければ当てることも難しい」
守護者のいる場所から少し離れた場所で、シグナムとフェイトがそんな会話をしていた。
「……頼むぞ。そして、死ぬな」
「……はい」
会話を切り上げ、シグナムはデバイスを弓に変え、矢を番える。
「翔けよ、隼!!」
―――“Sturmfalken”
「バルディッシュ」
〈“Sonic Form”〉
同時に、フェイトは防御を捨てて速度を上げる。
そして、放たれた矢に並走するように宙を駆け……。
「『なのは!』」
『うん!』
着弾寸前で矢を追い越す。同時になのはに念話で合図を送る。
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