29 石橋を叩いて渡ることを忘れること勿れ。
[1/3]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
現場に戻って、トランシーバーのスイッチをオンにする。
平子は、父親とちゃんと出会えたようだ。
_「どうでしたぁ?惚れた女を斬った気分は。」
_「どうだったィ?爺婆どもを想う通りに転がした気分はァ?」
_「そんな非道いですよぉ。全ー部親父の為を思ってやったことですよぉ?」
_「お次は、西郷を使ってェ、お登勢の店ェ、潰すらしいなァ?随分と無駄なことをォ。女狐にでも焚き付けられたかァ?」
_「そぉんなことありませんよぉ?これも作戦の一つです。この町には、お登勢の息がかかった者がぁ、まだたくさんいます。これを期に、連中を炙り出すつもりです。西郷もその一人。」
_「そう上手く行くかねェ?それに、心配せずともあの婆ァの仲間なんざァ、この町にゃァ、居ねェ。番犬の鎖ァ、もう千切れたァ。」
_「他には手を出すな、というお登勢との約束を守りたいんですかぁ?無駄ですよぉ?鎖なんて端からあの人には付いちゃいない。兄貴が他人の鎖に繋がれるような忠犬に見えましたかぁ?兄貴は必ず来ますよ。」
_「オメェ…見てやがったのか…?」
_「見てましたよぉ?お登勢に止めを刺さなかったことも。戦争に巻き込まないために、あの婆ァさんを斬ったことも、全ー部。…心配いりませんよぉ?もうお登勢にこだわっても無駄なことは分かりましたぁ。親父をこの町に縛り付けていたものは、そんな単純なものではないでしょう?私、分かっちゃったんです。あなたとあの人は同じなんだ、って。
…あなたたちをこの町に縛り付けるものは同じ。たった一人の男と交わした、たった一つの約束。己が定めた鉄の誓い。男の鎖。あなたたちは同じ鎖に繋がれた獣なんですぅ。でもぉ…一人は何かを失い、それでも尚何かを抱えてのたうち回りながらも、この町を護ろうとしている。もう一人は何かを失い、抱えることを止めた。修羅となってもこの町を手に入れ、力で護ろうとしている。端は同じであったのに、相容れない存在となった二匹の獣。果てさて。最後にかぶき町に立つのはどちらか。…心配いりませんよぉ?私もう、決めましたから。あなたと一緒に修羅の道を行く、と。私がきっと親父にこの町を手に入れさせてみせます。だから、全て終わったときは、きっと私の元へ…戻って来てくれますよね…?」
_「オメェ、…」
***
_「何だ、あの男らしいんだか女らしいんだか分かんねェ軍団はァ…!?次郎長一家と西郷ンとこだァッ!
チッ)戦争が起こるぞォッ!」
_「…西郷さんには西郷さんの、譲れない大切なものがある、ということですぅ。」
_「アンタがそれを言うかィ?人様から大切なもん奪ったアンタがァ。」
_「今さら謝るつもりもありません。私も、大
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ