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空に星が輝く様に
122部分:第十話 夏に入ってその四
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第十話 夏に入ってその四

「別に男の子だけでもね」
「そうなるのかよ」
「こいつはあれよ。男の主観でだけ話してるから」
 狭山を少し見たうえでの言葉だった。
「だからね。それはね」
「気にしなくていいとか言うんだな」
「そのものズバリよ。気にしなくていいから」
「おいおい、俺は男の側から言ってるんだぜ」
「じゃあ私は女の側から言ってるのよ」
 ここで顔を見合わせてまた言い合いをはじめた。
「だから私が正しいのよ」
「女はいつも正しいのかよ」
「そうよ、正しいのよ」
 胸を張り両手を腰にやっての言葉だった。
「絶対にな。正しいのよ」
「そこまで暴論言うのかよ」
「暴論じゃなくて正論よ」
 津島はまだ言う。
「だからいいのよ」
「よかねえよ、そんなの」
「話は聞いたわ」
 二人が言い争っているとであった。また新たな人間がやって来た。
 今度は椎名であった。後ろには赤瀬もいる。相変わらず好対象な二人である。大人と子供では済まされない程の背のコントラストがそこにある。
 そうしてそのコントラストの一方の椎名がだ。こう言うのだった。
「それじゃあだけれど」
「げっ、悪のチビッコだ」
「チビッコって言わない」
 言いながらすぐに狭山を何処からか出して来たハリセンではたく。それからだった。
「とりあえず斉宮と狭山は一緒に行かないのね」
「俺は別にどうでもいいけれどな」
「俺はそれは駄目なんだよ」
 陽太郎と狭山がまたそれぞれ言う。
「男と一緒なんてな」
「わかった」
 ここまで聞いてだ。椎名の言葉はだ。
「私が行く」
「えっ、椎名が!?」
「誰とだよ」
「つきぴーと行く」
 こう言うのであった。
「つきぴーと二人で一緒に行く」
「えっ、西堀とかよ」
「あの人とかよ」
「そう、一緒に行く」
 また言うのだった。
「夏休みまでに」
「えっ、それは」
 椎名の今の言葉を聞いてだ。陽太郎は急に狼狽した。そうしてそのうえで言うのだった。顔にその狼狽が出てだ。かなり困惑した様子になっていた。
「御前が。西堀と二人って」
「女同士なら問題ない」
 椎名の言葉は素っ気無いものだった。
「だから」
「いや、それはよ」
 しかしである。陽太郎は戸惑いながらだ。こう言うのだった。
「あのさ、それはさ」
「あのさ?」
「いや、確かに女の子二人で行くのは悪くないさ」
 それはいいというのだ。
「それに変な奴が来てもさ」
「私が全員蹴り倒す」
「それに西堀だって棒さえ持てば」
 そうなればである。そこから先は彼等にとっては自明の理であった。
「下手な奴だったら絶対に勝てないけれどな」
「だから大丈夫」
 実際にそうだと言う椎名だった。
「私達二人で無敵だから」

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