猫娘と明かされる秘密編
NO.049 救いとその定義
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そんなたらればの事はもう何度も考えたよ……だが、どんな名医でも俺の足は治らないと言ってきた……だから、もういいんだ……言ったろ? お前に『インゲニウム』は託すって……」
そこには疲れ切った表情をする天晴の顔があった。
緑谷君の言う通りだ……これは家族である俺でしか解決できない案件だ。
そう感じた飯田は次の言葉を選ぶ。
「まだ希望を捨てちゃダメだ、兄さん! きっと、まだ何かがあるはずなんだ!」
「天哉……あまり俺を怒らせるようなことをしないでくれ……弟でも容赦できないぞ?」
「ッ!! そんな、そんな顔をしないでくれ兄さん! 俺は、俺は兄さんの事を思って聞いているんだ! 少しでもいい……希望を取り戻してくれ!」
「そうは言うがな!! もう、もう何もできない身体なんだぞ……? 希望をもう持てないんだぞ……? こんな俺にこれ以上どうしろっていうんだ……」
「兄さん……」
顔を両手で覆って必死に何かに当たりたい心を抑えている天晴の姿の痛々しさよ。
だが、飯田はなお言葉を続ける。
「一言……言ってくれればいいんだ。治してまた頑張りたいって……」
「天哉……」
そして天晴の心に飛来する数々の想い。
自身の事を誇り高いと言ってくれた父の言葉……。
こんな自分に付き従ってきてくれた相棒の仲間達……。
今まで助けてきて感謝の言葉を贈ってくれた人々の顔……。
思い出せば思い出すほどにそれが一筋の形となって瞳から零れ落ちてくる。
「………治したい……またヒーローとして立ち上がって困っている人々を救いたい……こんなところで、諦めたくない!!」
天晴の心から来る本音であった。
飯田はそれで確信した。
このタイミングで言わずにどうしろと言うのだ。
「それが聞けてよかったよ、兄さん。そんな兄さんに今日はプレゼントがあるんだ」
「プレゼント……?」
「ああ。緑谷君、リカバリーガール。入ってきてください!」
飯田のその言葉に、病室の扉が開かれて少し涙目の出久と、優しい顔をしているリカバリーガールが中に入ってきた。
「リカバリーガール……でも、一回あなたの診断は受けたはずですが」
「ああ。あたしでもあんたを治す事は出来ない」
「でしたら……」
「だが、この子なら……緑谷なら出来るかもしれないんだよ」
天晴はそれで出久に顔を向けて、
「君は……?」
「は、はい! 僕は飯田天哉君の同級生で同じクラスの緑谷出久と言います。それで早速ですけど、天晴さん……もしかしたら体が僕の個性で治るかもしれないんです」
「それは、本当かい……?」
みるみるうちに天晴の顔に生気が戻ってきた。
「はい。出来る限りの事をさせてください」
「兄さん。彼女ならもしかするかもし
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