猫娘と明かされる秘密編
NO.049 救いとその定義
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けない!
そう、飯田は思うがどうすればいいのか分からない。
少しの沈黙の後に、出久がまた口を開いて、
「だから、飯田君。飯田君が天晴さんの心を呼び覚ましてあげて……」
「呼び覚ます……」
「そう。たとえもうヒーローとして活躍できなくてもいい、それでも健康な体でこれからを過ごしてもらうためには気持ちも追いつかないといけない。
多分だけど、今の天晴さんは心が塞ぎ込んじゃって、僕が治療してもどうしていいか分からないと思うから……」
出久のその気遣いに飯田は感動すると同時に、そこまで兄の事を考えてくれている事に底知れない感謝の気持ちで一杯だった。
「(やはり、君は僕の目指す人の一人だよ。緑谷君……)」
そう、改めて実感した飯田は「わかった」と言葉を返した。
そこにタイミングよくリカバリーガールが歩いてきた。
「話は終わったようさね?」
「リカバリーガール……」
「それじゃ飯田。案内よろしく」
「わかりました!」
飯田はそれではきはきと動いて先を歩いていく。
出久とリカバリーガールはそんな飯田の後ろを歩きながらも、
「さっきの飯田との会話、聞かせてもらったけど、良い覚悟だよ緑谷。お前さんが本当に治癒だけの個性だったらあたしは弟子に取っていたところさね」
「あはは……恐縮です」
そして病室の前まで来た三人。
中にはまだサプライズで伝えていない天晴に、それと父と母も事前に伝えておいたために来ている。
「それではお二人はしばしの間、待っていてください。必ず兄さんを説得して見せます」
「うん、わかったよ飯田君」
出久達に見送られながらも飯田は病室の中へと入っていく。
そこには下半身麻痺のためにベッドに上半身だけを起こして窓の外を見ている天晴と、それを心配そうに見守る父と母の姿があった。
「天晴兄さん……」
「天哉……お前まで来たのか……学校はちゃんと行かないとダメだろう……?」
飯田の方へとゆっくりと振り向く天晴。
その表情ははっきり言ってやつれていた。
ステインにやられる前の元気いっぱいだった兄の姿は見る影もない。
その事に一途の悔しさを覚える飯田。
だが、それも踏まえて飯田は言葉を丁寧に選択しようと思考を回していた。
「兄さん……聞きたい事があるんだ。いいかな?」
「なんだ……? 言ってみてくれ……」
なにか特別な会話がされる事を察した天晴は真剣な表情になって飯田を見据える。
その突然の兄の真剣な顔に萎縮しそうになる飯田。
だが、それでは先には進めない。
「兄さん……もし、もしもだよ? 足が治るとしたら、なにをしたい……?」
「なんだ……そんな事か」
「そんな事かって……真剣に聞いているんだ。答えてくれ、兄さん!」
「
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