SAO:tr8―ビーストテイマー―
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「キリト君! キリト君ってば!」
アスナは悲鳴にも似た叫び、床に転がった兄に呼びかける。
兄はボスを倒した瞬間、力尽きる様に倒れてしまったのが原因なんだろうけど
「大丈夫だよ、アスナ」
「でも! キリト君が死んじゃったら……」
「落ち着きなよ、それこそ大丈夫だって。消滅していないんだったら、きっとそのうち起きるよ」
HPバーも尽きていないのに倒れたってことは単に疲れてしまって気を失ったということだろう。
短時間の間、兄は全ての力を搾り取る様に目に止まらない二刀の連撃技でボスを倒すことに成功した。だけど、ボスを倒す時には兄のHPの赤ラインが数ドットの幅しか残っていなかった。
結果的に勝つことができた、そして生きている。でも剣撃が一秒でも遅れていれば、兄は死んでいたのかもしれない。一歩間違えれば死に繋がる戦い方をしていたんだ。
そういう意味では、アスナが涙目になって心配していることが痛いほどわかっていた。兄なら大丈夫だと信じていたとはいえ、私も兄を失う未来を想像したら怖いわけがない。
とにかく無事で良かった……。全く、兄の癖に憎たらしいし羨ましいよ。未来のお嫁さんに心配してもらって。ほんと、憎らしいよ。
「それじゃあ、兄のことよろしくね」
「え、キリカちゃん?」
「私は起きた時の兄のドヤ顔が見たくないので先に帰るわ。今日のMVPは兄で間違いないし、アクティベートも主役の兄に任せてもらおうことにする」
本当は兄に無茶し過ぎだと説教したいところではあるが、私の言いたいことはアスナも同じだからアスナに全部任せてもらって、せっかくだから兄にはアスナと良い雰囲気にさせようという妹のお心遣いのために一足早く帰りましょうかね。
「ドウセツも帰る?」
「そうね」
特に語らず、ドウセツは私と共にボス部屋から出ようとした時だった。
「キリカ」
クラインに呼び止められた。
……やっぱり呼び止められるか。絶対に聞かれることがあるからさっさと帰ろうとしていたのになぁ…………駄目経ったか。
この後、クラインが何を言うのか、予想ついている。
「先に言っておくけど、私はクラインに伝えるものは何もないからね」
「んなわけねぇだろ! 少なくとも俺はキリカに三つ言いたいことがあんだからな!」
「三つもって……多いなぁ……」
流石に、私のあの動きを不自然と見えるのは仕方ないのかもしれないし、そうなると最低でも兄とアスナも勘づいている可能性がありそうだ。
三つもあることに関して言えばちょっと想定外だったけど、どうせ私の予想が外れることはないのだろうな。
「とりあえず一つ目であろうクラインの言いたいことはさ、兄が使っていた『二刀流』のことだよね?」
「ああ、そうだ。キリカは知
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