第3章
月光校庭のエクスカリバー
第27話 どうしちまったんだ、イケメン!
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カキーン。
晴天の空に金属音が木霊する。
「オーライオーライ」
イッセーが飛んできた野球のボールをグローブでキャッチした。
「ナイスキャッチよ、イッセー」
ボールをキャッチしたイッセーに部長が笑顔で言う。
旧校舎の裏手にある草の生えていない少しだけ開けた場所で、俺たちオカルト研究部の面々は野球の練習をしていた。
来週、学園で学校行事である球技大会があり、種目のひとつに部活対抗戦というのがある。なんの球技をやるかは当日発表で不明なので、目ぼしい球技をこうして放課後に練習しているわけだ。んで、今日は野球なわけだ。
「次はノックよ! さあ、皆! グローブをはめたらグラウンドにばらけなさい!」
気合の入った部長の声に、俺たちはグローブをはめて散り散りになる。
部長はこの手のイベントが大好きなうえに、負けず嫌いでもある。
本来なら、悪魔であるイッセーたちや異形との戦闘のために鍛えている俺たちなら、よほどのヘマをしなければ負けることはない。実際、当日は加減をして臨むことになっている。
けど、球技のルールや特性を体で覚えておかないとダメだってことで、こうして部長は俺たちに練習を促している。
部長いわく、「頭でわかっていても、体で覚えていないとダメよ」とのこと。
ま、実戦では何が起こるかわからないので、こうして練習するのはいいことだしな。
「行くわよ! 明日夏!」
カーン!
「おっと!」
部長が打ったボールが勢いよく飛んできて俺の横を通り過ぎようとしたのを横に飛んでグローブでキャッチする。そのまま地面の上で一回転して立ち上がり、部長にボールを返球する。
「いいわよ、明日夏! 次、アーシア! 行くわよ!」
カーン!
次に部長が打ったボールがアーシアのほうに飛んでいく。
「はぅ! あぅあぅあぅ・・・・・・あっ!」
ボールはアーシアの股下を通って、後方へ行ってしまった。
アーシアは元々、運動神経がお世辞にもよくないからな。悪魔になって多少はマシになってもそこは変わらない。
「アーシア! 取れなかったボールはちゃんと取って来るのよ!」
「は、はい!」
だからといって、部長は甘やかさない。
元々スパルタ気味ではあるが、部長がこうも気合を入れているのは、先日のライザーとのゲームに負けたことに起因する。
経験や人数の差があったとはいえ、負けは負け。部長は心底悔しかったんだろう。その気持ちが勝ち負けに対して強い姿勢を見せているのだろう。
まあ、そのことは俺たち全員もわかっていることなので、こうして練習に取り組んでいる。
「次、裕斗! 行くわよ!」
部長は木場に向けてフライ気味にボールを飛ばす。
あれ
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