第3章
月光校庭のエクスカリバー
第27話 どうしちまったんだ、イケメン!
[2/11]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ぐらいだったら、木場なら余裕だろう。──いつもの木場ならな。
コン。
ボケーっと、うつむいていた木場の頭部にボールが落ちた。
「木場! シャキッとしろよ!」
それを見て大声をあげるイッセー。
それに反応してイッセーのほうを見る木場だったが、その表情はきょとんとしたものだった。どうやら、何があったのか気づいてすらないようだな。
「・・・・・・あ、すみません。ボーッとしてました」
ようやく気づいたのか、下に落ちているボールを拾い、作業的なフォームで部長のほうへ投げる。
「裕斗、どうしたの? 最近ボケッとしてて、あなたらしくないわよ?」
「すみません」
部長の問いに、木場はただただ素直に謝るだけだった。
部長の言う通り、木場は最近、ボケッとしていることが多く、球技大会の練習に限らず、オカ研の定例会議でもこのありさまだ。
「・・・・・・なあ、明日夏。木場がこうなったのって──」
「・・・・・・ああ。あの写真を見てからだ」
俺のもとに駆け寄って小声で訊いてきたイッセーに言った通り、木場がああなったのは、イッセーの家でアルバム鑑賞会をしたときからだ。
あのとき、木場は──。
『こんな思いもかけないところで目にするなんて・・・・・・これは聖剣だよ。──いや、なんでもないんだ。ありがとう、二人とも」
そう言って、笑顔でアルバムを返してきた木場だったが、それからだった。木場の様子がおかしくなり始めたのは。
──「聖剣」。写真に写っていた剣を木場はそう呼んだ。
「なあ、明日夏。聖剣って──」
「おまえも物語やアニメ、ゲームなんかで聞いたことあるだろう? 聖なる力を宿した剣とか魔を祓う剣なんて説明でな。実際にそのまんまで実在するんだよ。おまえら悪魔にとっては最も警戒し危険視する存在、教会の切り札としてな」
まさか、幼少のころに身近にあったとはな。
「そういえば、ライザーとのレーティングゲームのとき──」
「ああ、あれか」
イッセーが呟いたのは、ライザーとのレーティングゲーム、木場が相対したライザーの『騎士』カーラマインが、聖剣使いと相対したことがあることを知った瞬間、人が変わったように憎悪を表したときのことだ。
「木場と聖剣、なんかあるのか?」
「おそらく過去、それもたぶん、部長の眷属になる以前に何かしらの因縁があるんだろう」
そういえば以前──。
『個人的に堕天使や神父は好きじゃないからね。憎いと言ってもいい』
そんなことを口にしていたのを思い出した。今回の件と無関係ではないんだろう。
「まぁ、木場の過去も知らない俺たちがああだこうだと予測を立てても仕方がねえし、かなりデリケートな事情みたいだか
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ