121部分:第十話 夏に入ってその三
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第十話 夏に入ってその三
「あんたシスコンじゃない」
「俺はシスコンじゃねえ!」
「いえ、シスコンよ」
「何処をどう見たらそうなるんだよ!」
「ありのままね」
どう見ても津島の方が上である。しかも何枚もだ。
「見て言えることよ」
「ありのままかよ」
「そうよ、ありのままよ」
また言い合う二人だった。何兌換だ言って狭山も負けまいとしている。
「誰がどう見てもね」
「そりゃ御前の主観だろうがよ」
「そう?その割には携帯の待ち受け画面だってお姉さんじゃない」
「あれは姉ちゃんがどうしてもって言うからよ」
「そんな訳ないでしょうが」
しかし津島の優勢は変わらない。そのまま言うのであった。
「そんな筈がね。そうでしょうが」
「だからそれは御前の主観なんだよ」
「そうかしら」
「そうだよ、あとな」
「あと?」
「いい加減離せよ」
話をそちらに変えたのだった。
「もうよ。スリーパーホールド止めろよ」
「ああ、それね」
「それだよ。もう止めろよ」
「わかったわ。それもそうね」
今度は素直だった。あっさりと離れる。狭山は何とか解放されてた。首のところを摩りながらそのうえでこうしたことを言うのであった。
「それでな、斉宮よ」
「ああ、俺か」
「それでどうするんだよ」
あらためての問いであった。
「それでよ。どうするんだよ」
「どうするんだよって」
「だからどうするんだよ、プール」
言うのはこのことだった。このことを問うのだった。
「プールな。誰と行くんだよ」
「事前にだよ。夏休みの前にな」
「さてな、どうしようかな」
それを言われてもだ。腕を組んで考えた顔になるだけだった。そこからは先に進めずどうにももどかしいような顔にもなる陽太郎だった。
「御前と行くのはな」
「だから野郎二人はな」
「やっぱり駄目か」
「何度も言うけれどよ、男二人でプールに行くもんじゃないぜ」
狭山はそこは確かに言うのだった。
「事前の下見って言ってもな」
「そうか、それでか」
「ああ。それなら一人で行く方がいいだろ」
「一人か」
「誰と行くんだ?」
またそれを問う狭山だった。
「それでな。誰となんだ?」
「もうこうなったら一人で行くか」
陽太郎は腕を組んだままであった。しかしそれでもだった。
答えはそれだった。それしかなかった。
「それしかないだろ」
「それも駄目だって言ってるじゃねえかよ」
狭山は真顔に戻って彼に告げた。
「そうだろ?だから男だけで行くものじゃないんだよ」
「それじゃあ女の子だけだったらいいのかよ」
「ああ、それはいいんだよ」
それはだというのだ。
「それはな。いいんだよ」
「そうか、それなら」
「けれどな」
しかしであ
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