ペルソナ3
2066話
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ない!」
食うと表現したが、具体的にニュクスが俺の頭の中の何を食っているのかというのは、分からない。
そもそも、食うという表現そのものが、何か明確な証拠があって言っている訳ではない。
だが、俺の中にある念動力は、間違いなく今の状況を危険だと、そう告げていた。
だからこそ……
「殺す」
『待ってくれないか』
ブラックホール・ランチャーとメガ・バスターキャノンを放とうとしたその瞬間、不意にそんな声が聞こえてくる。
誰だ? と一瞬苛立ち混じりに叫ぼうとしたが、その声の主が誰なのかをすぐに思い出す。
頭の強烈な痛みに眉を顰めながらその人物の名前を口に出す。
「何の用だ、望月」
そう、いつの間にかニーズヘッグの横にいたのは、望月。……いや、その形体はデスのものになっている以上、デスと呼ぶべきか?
宇宙空間に生身で浮かんでいるというのは、普通であれば驚くところだろうが……俺の場合は、普通に宇宙空間に出る事が出来るので、その辺りは特に驚く事もなく受け止めていた。
『取りあえず……』
短く言うと、一瞬ニーズヘッグが光り、次の瞬間には俺の中にあった強烈な頭痛は消えていた。
ニュクスが死んだのか? とも一瞬思ったが、相変わらずニュクスの姿はそこにある。
感情……というものをニュクスからは感じる事は出来ないが、それでも俺に向けて攻撃をし続けているというのは、何となく理解出来た。
つまり、デス……いや、もう敵対している訳じゃないし、この形体でも望月でいいか。望月が何らかの手段でニュクスの攻撃を遮断してくれたと、そういう事だろう。
「それで? あの攻撃を遮断してくれたのは感謝するが、どうしたんだ?」
『うん。これはお願いなんだけどね。ニュクスを殺すのを止めて……このまま眠らせて欲しいんだ』
「……眠らせる?」
正直なところ、俺は望月が何を言っているのか分からなかった。
今、この状況で……それこそ後少しでニュクスを殺せるというのに、何故その状況でわざわざ助ける必要があるのか。
「何故そんな真似をする必要がある? ここで一気に殺してしまうのが一番手っ取り早いだろ」
『そうだね。けど……ニュクスを生かしておくのは、君にも利益はあると思うよ』
「……俺に利益?」
『うん。例えば……もしここでニュクスを殺したりした場合、君の召喚獣になった刈り取る者だっけ? あのシャドウも影響を受ける可能性は高い。君との契約によって純粋なシャドウではなくなったとはいえ、ベースとなったのがシャドウであるというのは変わらないしね』
「それは……」
『それに、ニュクスの身体は本当の意味で月だ。そうである以上、このままニュクスを殺すということは、地球から月を失わせてしまうということにもなる』
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