第41話
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ていなかったんです。”クルーガー”というのは受け継いだ”死線”の”号”……”名”は任務に応じて変えるというのが”木馬園”の流儀でした。ですがイリーナ様は、わたくしに”シャロン”という名前を与え……虚ろだった娘に、ラインフォルト家のメイドとしての立場を下さったんです。以来、わたくしは”結社”に属したままラインフォルト家のメイドを続けていました。”執行者”としての権利である”あらゆる自由”を活用する形で―――」
「……そんな事が………どうして俺に……?しかもこのタイミングで……当然……アリサは知らないんですよね?」
シャロンの過去を全て聞き終えるとリィンは複雑そうな表情を浮かべた後シャロンに真意を訊ねた。
「ふふ、良い機会でしたので。―――いつか、必要だとリィン様が判断された場合、どうかお嬢様に教えてあげてください。その時、わたくしがお嬢様の側にいない可能性もあるでしょうから。」
「……!?」
シャロンの説明を聞いたリィンは血相を変えたが
「ふふっ、仮定の話ですわ。わたくしの愛と献身が会長やお嬢様から離れることは絶対にありえません。ああ、もちろんリィン様が正式にお嬢様と結ばれることになれば”旦那様”としてご奉仕を―――」
「いや、それは魅力的ですけど……!」
いつもの様子に戻ってからかってきたシャロンの言葉に脱力した。
「……ありがとう。そんな大切な話を聞かせてくれて。アリサは――――アリサ達旧Z組は貴女にずっとお世話になっていたのでしょう。日々の寮生活で、内戦の危機で……―――だから、何かあったら遠慮なく頼ってください。旧Z組もそうですが俺や特務部隊の仲間も、……もちろんアリサだっていくらでも力になりますから。」
「リィン様……ふふっ………本当に頼もしくなられましたね。――――しかし今の仰りよう、年上相手に少々反則ではないかと。これはもう、お嬢様達とは別に”ご主人様”とお呼びするしか―――」
「だ、だから誘惑しないでくださいってば……!」
(実際リィンは自分にとっての年上である私達の心を掴んだから、シャロンの言っている事に一理あるのよね。それよりも、まさかとは思うけどゲルドが見た”未来”にリィンの伴侶の中に彼女も含まれているのかしら……?)
ウインクをして誘惑したシャロンにリィンは疲れた表情で答え、その様子を見守っていたアイドスは苦笑した後ある事に気づいて冷や汗をかいていた―――
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