141章 音楽に世の中を良くするパワーはあるのか?
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う著書の194ページですが、こんなことを語っています。
『身体論にはメルロ=ポンティをはじめいろいろありますけど、
ぼくはマルクスの身体論が1番いいんじゃないかなって思っています。
要するに精神であれ肉体であれ、人間が外界に対して働きかけ外界が変形して
価値が生じると、人間は生きた有機的な自然に変化する。
要するに人間が有機的な自然に変化しなけりゃ外界に働きかけることはできない、
そういう自然哲学です。外界が価値化する。
つまり、自然が人間の肉体の延長線になるということと同時に、
人間も有機的な生きた自然というふうに変わっちゃうんだと。
働きかけた瞬間に相互がそう変わるっていうことですね。自然が価値化して人間も変わる。
それは、いまでも1番妥当なんじゃないかなと思っています。
マルクスは大雑把なように見えて、
自然と人間の相互関係を実にうまくいっていると思います。』
以上が、吉本さんの語っていることですが、この自然と人間の関係って、
音楽作りにも、ぴったり当てはまるんですよね。
楽器の演奏とかにしても、自然が人間の肉体の延長線になるということと同じであり、
人間も、有機的な生きた自然の楽器と一体になるって、ことですからね。
有機的という意味は、生物体のように生命を持つのと同等だ、
といった意味になりますから。
音楽を作る立場からいえば、CDにしても、インターネットで楽曲を配信するデジタル音楽にしても、
自然が人間の肉体の延長線になるということと同じだし、
人間も有機的な生きた自然というふうに変わることなんですよね。
吉本さんが言うように、音楽を作るってことは、そして、音楽を鑑賞するってことは、
自然が価値化して人間も変わるってことだし、
自然と人間の相互関係が、実にうまくいっているということなのだと思います。
そんなわけですから、おれたちは、これからも、みんなで、音楽を愛して、
魂というか心とかも大切にして、磨いていけばいいんだと思います。
そして、まあ、このように、音楽に世の中を良くする絶大なパワーはあると、おれは考えています。
以上で、きょうの講演は終わりにします。みなさん、ありがとうございました!」
信也は、笑顔で会場に手を振る。沸き起こる拍手は鳴りやまなかった。
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☆参考文献☆
1.『稲盛和夫の哲学』 稲盛和夫 PHP文庫
2.『ザ・シフト』 ウエイン・W・ダイヤー ダイヤモンド社
3.『生涯現役』 吉本隆明 洋泉社
≪つづく≫ --- 141章 おわり ---
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