MR編
百五十五話 アイリのドキドキ恋バナタイム
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を合わそうとしなかった。
────
「…………」
「…………」
普段やかましいほどのアイリが黙り込んでしまうと、どうしても違和感と嫌な空気が蔓延する羽目になる。そんな重たい沈黙が続く中を、しばらくその空気のまま2人は通路を歩いていたがしかし……やがて気まずさに耐え切れなくなったように、リョウが言った。
「分かった、悪かったよ」
「……何が?」
視線をリョウに向けないまま、アイリはリョウを試すように聞き返す。彼は首をひねると、頬を掻いて続けた。
「……だから、からかい返すにしても、やりすぎたこととかだ」
「それだけ?」
「……?他にあんのか?」
「……やっぱり、分かってない」
怒ったように言うアイリに、リョウは眉を顰めるが、その表情を見て余計に彼女は不満げな顔をした。
「あのね、私は、誰にでもなんてしないの」
「……あぁ」
頷きながらも、いまいちピンと来ていない様子のリョウに、彼女は余計に苛立ったようだった、少し荒っぽくため息をついて、彼女は彼を指さして大声で詰め寄り始める。
「だから、リョウは特別なの!」
「はぁ?」
「私の中でのリョウの立ち位置をリョウは簡単に考えすぎなの!さっきの……えぇと、あの、あれ!本気でドキドキしたんだから!!」
「わ、分かった!悪かった悪かった!」
若干潤んだ目で迫るアイリの顔に涙の気配を感じ取ったのか、珍しく狼狽した様子でリョウは何度も謝罪を繰り返す、その様子にようやく満足したのか、詰め寄るのを止めた彼女に、安堵した気配と共に彼は少し複雑そうな顔で聞いた。
「けどお前、それ、本人に直接言うのは……どうなんだ」
「どうもこうも無いよ、そりゃ恥ずかしいけど……私は、リョウには一番恥ずかしい事、もうしちゃってるもん」
「初めての告白だったんだよ?」と言って、けれどアイリもまた複雑そうな表情でリョウから視線を逸らし……けれど不意に少し自嘲気味に笑うと、外した視線を動かさず通路の奥、暗闇の向こうを見てひとりごとのように聞き返す。
「リョウだってそうでしょ?初めて自分に告白した女の子に、ひと月ちょっとでそんな風に冷静に、あんな風に迫れるんだから、なんでもない事なんだよ」
「…………」
言いながら、アイリはリョウを置いて歩き出す。後からリョウが続く気配がしたが、彼が特に反論しない事に自分で言っておいてチクリと胸が痛んだ。
が……
「……おい、埋め合わせじゃねぇけど、訂正ついでにいくつかお前に教えてやる」
こんな言葉で、その痛みは引いて、少しだけ胸が跳ねるのだから、自分の心は単純だ。
「……何?」
「先ず、別に俺はさっきのが完全に冷静だったわけじゃねぇ、あと、俺がひと月ちょいで調子戻せたのは、お前が二回目だからだ。初めてんときはもっと引きずった
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