MR編
百五十五話 アイリのドキドキ恋バナタイム
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上げて周囲を見回す。他に敵の姿は無く、相変わらず通路には不気味な静寂が満ちている、それでも先ほどのようなパターンを警戒して聞き耳を発動すると、不意に彼の耳が異音を捕えた。
『ああああぁぁぁぁぁぁぁ……』
「ん?」
遠いが、悲鳴だ。声の高さからおそらくは女性、かなりのスピードでリョウに接近してきている。ただ少し方向がわかりにくい、というのも、例えばアスナがアストラル系モンスターに脅かされて悲鳴を上げて走ってきているとかであれば、確実に足音がするし、すさまじいスピードで接近してきているのにも合点が行く、しかし遠く反響するその声は悲鳴だけで足音は無く、むしろ足の無いアストラル系モンスターその物が威嚇音を発しながらこちらに接近していると考えた方が合点が行く、しかしそれだとろくに目視もしていない遠く離れたモンスターがこちらに気が付いていることになる。
「いや……」
そもそも、この声は通路の先から聞こえているものなのだろうか?それにしては接近が早すぎるようにも思える、このスピードはそう、強いて言うならまるで落下してきているかのような……
「って、待て!?」
「ひゃあああああぁぁぁぁぁぁ!!!」
「おいちょ、ふぶっ!?」
「むぎゅう!!」
奇妙な二人分の声の直後に再び静寂が訪れた。
「いたぁ……もう、なんなのあの古典的な落とし穴……」
「…………」
「はぁ……あれ?あ、リョウだー!!」
「はいはいリョウですよ、取りあえず退いてくんねーですか、人の顔にしがみつきやがって」
何の冗談か上から落下してきたアイリは、リョウの胸の辺りに足を回して、リョウの顔面に抱き着くようにしてしがみついていた。ジトッとした視線で自分を観るリョウに、アイリはおかしそうにケラケラと笑った。
「凄いねぇリョウ、落ちてきた私の事受け止めて、しかも転ばないで耐えたんだ!!」
「お前がでかい悲鳴上げてたお蔭だよ、はよ離れろデカい脂肪で息が詰まりそうだ」
「あー、其れセクハラだよリョウ!」
「だから離れろっつーの!」
そう思うならいつまでもしがみついてんじゃねぇ!と無理矢理引きはがそうとしたリョウの手から逃げるようにくるりとバック宙をしてアイリはリョウから離れる。
「もー、こんなに良いものがあるのにもったいないよ?いっそそっちから飛び込んできても良いくらいなのに!」
「抜かせ、ALO(こっち)来たとき散々邪魔だ邪魔だ言ってたろうがお前」
アイリのALOとGGOのアバターは胸囲がだいぶ違う、GGOのアバターでは控えめで動きを阻害することも殆ど無かった胸が、ALOではそれなりに立派なものを付けている所為で、戦闘時に少し違和感となって残っているのだ。
「戦うのにGGO(むこう)と重心が違うんだもん、接近戦で剣振り回すの大変なんだよ?っていう
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