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SAO─戦士達の物語
MR編
百五十五話 アイリのドキドキ恋バナタイム
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で鼻を鳴らしながらそう言うと、彼は仕方なく通路の更に奥へと進み始める。薄暗い通路の不気味さが、傍らに居た少女がいなくなったせいか先ほどまでよりもやけに際立って感じられ、その表情が苦笑へと変わった。

「やれやれ、久々だな、こういうのも」
言いながら、彼は聞き耳のスキルを作動させる。すると前方に、ヒタヒタと妙な足音が引っかかった。聞き耳スキルは密閉された空間の中では反響する音に寄って方向がわかりにくくなるが、この一方通行では足音は前からしか起こりえない。軽く周囲を見回すと、彼は近場の崩れた柱の陰に身を隠して暗闇の先にジッと目を凝らす。
松明の火に照らされて姿を現したのは、ボロボロの白い布を全身に巻いた包帯男(マミー)だった。数は二体、まだこちらには気が付いておらず、今しかければ奇襲になるだろう。いずれにせよ、退路が無い以上迷う必要もない。

「(……久々ついでにやってみっか)」
少し上に視線をやって、通路の狭さと柱の位置を確認する。それから少し息を吸って、吐いた。直後。

「ッ!!」
足元の石材が砕け散る音と共に、リョウの姿が突然反対側の壁へと移動する。足を付けた地面から数メートルの位置で一度二体の位置関係を再確認、瞬時に壁を蹴り飛ばして二体に向けて飛び込んだ。

「ォオ」
「勢ィ!!!」
マミーが威嚇するような声を上げようとした、瞬間、空中で回転したリョウが振るった斬馬刀が一体の首にクリーンヒットし、急所(クリティカルポイント)に重撃を食らったマミーのHPが0になると同時に、その首が宙を舞った。
空中からの高速突撃による、回転を利用した一撃必殺の重撃、体制の制御の難しい一連の動作にあって、しかして一撃で急所を切り裂いて見せた青年はしかし、そこではまだ止まらない、一瞬反応を送らせてこちらに向きなおろうとするもう一体を、即座に処理しなければならないからだ。

「オォ……羅ァッ!!」
右足に灯る朱いライトエフェクトを、大きく広がる浴衣の裾を尾に引きながら一回転して、リョウは突き出した。

重単発技 車蹴り《くるまげり》

俗に言う、ローリングソバットと同じ動きで繰り出されるこの蹴り技は、人型エネミー一体程度なら吹き飛ばして余りあるほどの威力を孕んだ一撃だ、強烈な筋力値に裏打ちされたそれは、腹部にクリーンヒットした瞬間に2m近い身長のマミーの背部を壁に叩きつける。めり込みそうな勢いで激突したエネミーの存在するはずの無い呼吸が、一瞬詰まったように見えた。

「わりぃな、急いでんだわ」
与えたノックバックによって、動きの止まったマミーの前で、リョウは悠々と体制を立て直し向き直る。

「割れろ」
振り下ろした斬馬刀が、脳天から一直線にマミーの身体を切り潰す。
爆散するポリゴンの破片とリザルトを見ながら、リョウは顔を
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