MR編
百五十五話 アイリのドキドキ恋バナタイム
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続けたその言葉に、アイリはニカリと笑う。
「出来るかは、ユウキ次第だと思うな……でも、きっとその時が来たら、その時の想いとか、心はきっと、ユウキにとって凄く大事な宝物になると思うよ?」
「そ、そうかな……でも、どうして?ボク、アイリと会って全然なのに……」
「え?あぁ、それはその……」
どうしてそんな大事な思い出を話してくれたの?と言うその問いの意味を、理解したらしいとたんに、アイリの笑顔が頬の端をひきつらせた奇妙な形に変わった。どこか所在なさげに視線を彷徨わせると、若干言い難そうに言葉を詰まらせながら答える。
「じ、つを言うとね、割と一人で抱えてるの、ちょっともどかしくて、どこかで誰かに一度吐き出しておきたかったんだけど、相手がいなくて……」
「え?でも……」
「いやその、アスナとかシリカたちは、リョウと凄く仲良いでしょ?だから変に気を使わせちゃうのやだなーって思ってて……アウィンはその、普段からリョウと喧嘩してるからちょっとした事で口を、ね?サチは論外だし……」
「な、成程……」
両手を空中で妙なジェスチャーをするように漂わせて説明する
「だから、何となく流れでポロポロっと出ちゃったというか……あー、ごめんね?なんか愚痴っぽくなっちゃって……」
「う、ううん!」
軽くウィンクするようにして申し訳なさそうに真っすぐに伸ばした手を自らの顔の前で立てた。
「ボクも、勉強になった、っていうか……凄いなって思ったよ」
「そうかな……?」
そう言ってはみても、ならば自分がそんな視点に立てるかと言われれば、具体的なイメージは何も浮かばないのが、今の彼女の限界値だった。こんな体たらくでアイリのようなキラキラとした経験などできるのか、そう考えた瞬間に……
「わっ!?」
「えっ!?」
突然、隣を歩いていたアイリの足元に、突然ぽっかりと穴が開いた。
「わ、ちょ、わあああぁぁぁぁぁぁ……!」
「あ、アイリ!?」
穴の奥へ奥へと遠ざかっていくアイリの声に茫然としている内に、穴はきれいに閉じてしまった。そして……
「だ、大丈夫かな……」
少し心配になりながらも、ユウキは他の仲間達と合流するために、急いで走り始めた。
────
「しくったか……」
目の前に屹立する石の壁を見ながら、リョウは頭を掻いて苦い顔をする。戦闘中、前衛をしていたリョウと後衛のシリカとの距離が少し開いたとたんに、シリカとの間に壁が形成されてしまったのだ。シリカの側には敵影は無かったし、こちら側の敵については全て殲滅したので火急的な問題はない筈だが、少なくともこれで完全に孤立してしまった。自分はともかく、シリカはなるべく早く他の味方と合流出来ればよいのだが……
「このダンジョン作った奴、性格わりぃな……」
憮然とした表情
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