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真田十勇士
巻ノ百三十九 鉄砲騎馬隊その六

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「よいな」
「わかり申した」
「ではです」
「今は待ちます」
「その様に致します」
「頼むぞ、動けば敗れる」
 今はというのだ。
「しかし今動かずばな」
「伊達の鉄砲騎馬隊にですか」
「勝てますか」
「無敵の強さを誇りますが」
「それでもですな」
「そうじゃ、勝てる」
 その彼等にというのだ。
「だから待っておれ、よいな」
「わかり申した」
「ではです」
「今は待って」
「そうして戦いまする」
 兵達も頷いた、そしてだった。
 彼等は幸村の言う通り今は待った、敵が来ることを。そうしてだった。
 遂に伊達の鉄砲騎馬隊が鉄砲を放ってきた、その弾を受けて倒れる兵もいた。しかし。
「くっ、伏せておるせいかな」
「思ったより倒せぬな」
「ああして伏せられておるとな」
「弾が当たらぬ」
「立っておれば当てられるが」
「ああして伏せられるとな」
「想う様に当てられぬわ」
 鉄砲騎馬隊の者達も歯噛みした。
「撃って崩れたところを斬り込むが」
「崩れておらぬな」
「このまま斬り込むが」
「思わぬことをしてくれたな」
「流石は真田殿か」
 彼等を率いる片倉も唸って言った。
「ああしてまずは鉄砲をやり過ごすか」
「そうしてですか」
「我等を迎え撃ちますか」
「我等はもう止まりませぬし」
「それでは」
「うむ、斬り込む」
 鉄砲を撃った後はというのだ。
「よいな、そうしてだ」
「撃ち崩した時と同じく」
「そのままですな」
「斬り込み」
「そうして敵を倒しますか」
「そうする、よいな」
 こう言ってだ、片倉は自らも刀を抜いた。そうして率いる兵達と共にだった。
 伊達の鉄砲騎馬隊は斬り込んだ、そのうえで真田の軍勢と刃を交えて戦うことになったがその時にだった。
 幸村は遂にだ、兵達に叫んだ。
「よし、今はじゃ」
「はい、いよいよですな」
「これからですな」
「兜を着けよ」
 まずはというのだ。
「そしてじゃ」
「それからは」
「どうせよと」
「立ってそして槍を出せ」
 手に持っているそれをというのだ。
「前にな」
「突き出すのですか、槍を」
「騎馬隊に向かって」
「上から叩くのではないのですか」
 戦で槍はそう使う、上から敵を叩きそうして敵陣を崩すのだ。信長はこのことから槍を長くさせたのだ。間合いが遠い方が敵を先に叩いて崩せるからだ。
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