巻ノ百三十九 鉄砲騎馬隊その四
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「だからか」
「はい、それがしもです」
「真田殿に向かうか」
「そして」
そのうえでというのだ。
「打ち破ってご覧に入れましょう」
「真田殿の首もか」
「獲ります」
政宗に確かな声で答えた。
「そうします」
「そうか、ではな」
「はい、これよりです」
「戦に出るか」
「そうしてきます」
「それではな」
政宗は片倉のその言葉を受けてだった、そのうえで。
彼に先陣を任せた、そうして後藤との戦の後でだった。彼に真田との戦においても先陣を命じたのだった。
幸村はその報告を道明寺村の前まで聞いた、敵は石川を渡ったとだ。
その話を聞いてだ、彼は言った。
「ここはな」
「はい、攻めますな」
「ここは」
「即座に」
「いや、すぐにではない」
幸村は家臣達に答えた。
「待ってそうしてじゃ」
「そしてですか」
「敵が来たところをですか」
「迎え撃つ」
「そうされますか」
「そうじゃ、敵は鉄砲騎馬隊が来る」
伊達家が誇るこの軍勢がというのだ。
「あの者達は攻めてそうそう勝てるものではない」
「だからですか」
「ここはですか」
「迎え撃つ」
「そうするのですか」
「では、ですな」
家臣達は幸村にすぐに言った。迎え撃つと聞いて。
「鉄砲を備えますか」
「もう柵は間に合いませぬが」
それを築くことはというのだ。
「堀も」
「川も渡られましたが」
「鉄砲を使って迎え撃ちますか」
「そして弓矢も」
「いや、それは敵も読んでおろう」
伊達家の方もというのだ、幸村は家臣達にこう答えた。
「だから鉄砲や弓矢は使わぬ」
「ではどうされるのですか」
「相手は鉄砲騎馬隊ですぞ」
「撃ちまくり斬り込んでもきますが」
「一体」
「肉を切らせて骨を断つ」
幸村は家臣達に答えた。
「そうする」
「肉を切らせてですか」
「そして骨を断つ」
「では多少討たれるのを覚悟で」
「そのうえで」
「伊達家の軍勢を破るぞ」
攻めて来る彼等をというのだ。
「よいな」
「どうされるおつもりですか」
「あの鉄砲騎馬隊をどう破られるのですか」
「我等にはわかりませぬが」
「一体」
「槍を持て」
まずはこれをと言うのだった。
「そして兜を脱ぐのじゃ」
「兜を、ですか」
「鉄砲が来るというのに」
「兜を脱ぐのですか」
「そうせよと」
「そのうえで伏せよ」
槍を持ち兜を脱いでというのだ。
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