ペルソナ3
2064話
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「悪いな、色々と聞きたい事はあるんだろうが、今は後回しにしておいてくれ。ニュクスを倒したら、色々と纏めてその辺の話を聞いてやるよ」
「……ふん。無事に帰ってこい。そうしたら、お前が好きだというエビフライを作ってやるから、それを食いながら話を聞いてやるよ」
いつも通りぶっきらぼうな荒垣の言葉だったが、それは俺に対して生きて戻ってこいと……ニュクスに勝てと、そう言っていた。
「ああ、特大のエビフライを期待してるよ。それに、ホワイトスター……シャドウミラーの本拠地には、思い切り腕の良い料理人もいるからな。お前には色々と貸しもあるし、ホワイトスターで働く事になったら、その料理を食べる事もあるかもしれないな」
そう告げ、他の面々とも少しだけ言葉を交わし……空間倉庫から、ニーズヘッグを取り出す。
俺の分身とも呼べるその機体は、相変わらずラスボス系……もしくは隠しボス系の姿をしている。
いやまぁ、俺の存在その物が、とてもではないが正義の味方とは言えないんだし……その辺りはおかしな話じゃないか。
そんなニーズヘッグに視線を向けていると、ニーズヘッグの方も俺の視線を感じたのか、微かに脈動した。
どうやら、ニュクスという、この世界の最大の敵との戦いが近づいていると、ニーズヘッグも理解しているらしい。
そんな風に思っていると……
「アクセル」
声が聞こえ、振り向く。
そこにあるのは、ゆかりの顔。
そして、有無を言わさずに唇を重ねられる。
そのまま数秒、やがてゆかりの舌が俺の唇を割って入ってくると、俺の舌と激しく絡み合う。
そして1分程が経ち、やがてゆかりが離れ……
「アクセル」
続いて俺の唇は美鶴の唇に塞がれ、舌を絡め合わせる。
こちらも1分近くの間キスを続け……やがて、離れる。
「私と美鶴先輩という、勝利の女神のキスが2人分なんだから、絶対に勝ってきなさいよ」
「私とゆかりは、まだ夜のアクセルには勝てないが……そのままにはしておかない。いずれ、アクセルに勝ってみせる。だから、私とゆかりにお前の存在を刻みつけたんだ。当然、責任は取って貰うぞ」
死ぬな、と。
暗にそう言ってくる2人。
……離れた場所では天田達が今の2連続のキスシーンを見て顔を真っ赤にしていたが、それは気にしないでおこう。
そうして、俺はニーズヘッグのコックピットに座り、機体を起動させる。
『アルマー君、いいかい……来るよ?』
やがて聞こえてきた望月の言葉。
そして次の瞬間、影時間の空間を割るかのように、上空から巨大な目のような物が存在する球体が……月が、ニュクスが、姿を現すのだった。
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