第71話『昏き雷鳴』
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。それを聞いて何を思ったのか、ウィズは不敵な笑みを浮かべる。
「"遍く悪魔たちに告ぐ。我が呼びかけに答え、現界せよ"」 ヴォヴォヴォン
今回の詠唱は今までと訳が違った。終夜はそれに気づき、微かに眉をひそめる。魔法陣の数が余りに多いのだ。
さっきまでは一つだけだったが、今回の召喚では十を超えている。魔女の本気、と言ったところか。
「まるで…動物園だな。いくら数が増えようが…俺には関係ないぜ…?」
「いいえ、倒すのが目的ではありません。私はただ時間稼ぎをしたいだけです。──貴方が雷に呑まれるまでの」
「ちっ、そういうことか…!」バリッ
ウィズの意図に気づき、終夜はすぐさま左腕を振るって黒雷を放つ。そのスピードはもはや光の如し。だから一瞬でウィズの元まで届く・・・はずだったが、それは魔法陣から出てきた動く岩に防がれてしまった。
「ゴーレム…それもお前の悪魔だったのか」
「おや、貴方たちだったんですか。私が放ったゴーレムが悉く倒されてしまったので驚いてたんですよ」
「ご愁傷様なことで。・・・そろそろマジでやべぇから覚悟しろよ」
終夜はそう吐き捨て、左腕に力を込める。すると黒いモノが生きているかのように蠢き、黒雷を迸らせると共に終夜の顔の残り半分を侵食していった。しかし終夜はそれに構うことなく、光の如き速さで突撃する。
「おらァァァ!!!」バリバリバリィ
「そんな…!?」
終夜の叫びに呼応するように黒雷は苛烈を極め、まるで嵐の様に悪魔らを蹂躙する。踊るように舞う電撃は、全ての悪魔を瞬く間に焼き払った。
灰だけが宙を漂う惨状に戦慄するウィズを、終夜は最後に視界に捉え、
「オワリダ」バリッ
無情にも落とされた雷は、断末魔をあげる暇も与えずにウィズをも燃やし尽くした。
辺りが焼ける臭いと虚しい静寂に包まれる。そんな呆気ない終末に満足いかなかったのか、『闇』に呑まれた終夜は進行方向に向き直ると、そのまま森の中へ跳び去ったのだった。
*
場所は変わって、さらに森の奥。そこでは化物と小さな戦士との戦闘が繰り広げられていた。
「死ねぇぇ!!!」ブォン
「死んで…たまるかっての!」ヒュ
ただの血と侮るなかれ。血液だって液体であり、量にはそれなりの重さが伴う。故に多量の血によって造られた尻尾の一撃は、正面から刀で受けたとしても恐らく胴体を持っていかれるだろう。
だから緋翼は正面から立ち向かうのではなく、刀を用いて受け流すように尻尾を躱していた。
「ふっ!」ブシャア
「効かねぇよんなもん!」
「しぶといわね…!」
避ける間も攻撃は欠かしてい
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