117部分:第九話 遠のく二人その十一
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第九話 遠のく二人その十一
「気楽にいかないと」
「私今全然気楽じゃないけれど」
「そこをあえて気楽に考えるのよ」
「気楽に?」
「そうよ、あえてよ」
こう言うのである。
「あえてね。気楽に考えないと」
「何か全然そうは考えられないから」
「そういうところが駄目なのよ。お姉のね」
「あんたが能天気なだけよ」
「その能天気なのがいいんじゃない」
相変わらずニコニコとしている妹だった。
「だからお姉もね」
「全く。とにかく頃合いを見て何かするわ」
たまりかねた様な返事だった。
「何かをね」
「まあ頑張って。それじゃあね」
「あんたもまた勉強?」
「そうよ。受験生だし」
今中学三年である。それならば受験は避けて通れない。星華にしても去年経験してきたことだ。それで納得しながら妹の今の話を聞くのだった。
「それなら当然よね」
「しかも八条高校だしね」
「姉妹で同じ学校行こう」
笑顔で姉に告げる。
「二人でね。いいわね」
「全く。何で高校まで一緒なんだか」
「一緒でいいじゃない」
星子の返答は明るいままである。
「折角の姉妹なんだし」
「まあね。それじゃあどうしてもなのね」
「絶対に受かるから」
今度は強い決意での言葉であった。
「私もお姉と同じ制服着るんだ」
「私と同じなの」
「だってお姉の制服凄くいいじゃない」
「沢山バリエーションあるけれどね」
「先輩も着てるのね」
「あいつはあれよ。青の学ランよ」
それだというのだ。
「長ランでね。七つボタンでね」
「何か応援団みたいね」
「やっぱりそう思う?」
「長ランっていったらね」
星子はそこから言うのだった。
「やっぱり応援団じゃない」
「そうよね。それでズボンはね」
「あれ?ボンタン?」
「そう、それ」
所謂変形学生ズボンである。太腿のところが広くなっていてタックが入っている。とはいっても高校でははいているのも普通である。そして八条高校では。
「うちの学校じゃ制服の中に入ってるしね」
「随分自由なのね」
「制服はね。校則も自由だし」
「じゃあやっぱりいい学校なのね」
「雰囲気とかもいいわよ」
それもだと言う。
「ただね。勉強はね」
「厳しいのね」
「それは気をつけることね」
「わかったわ。じゃあ勉強頑張るわ」
「部活は充実してるし」
次は部活の話だった。
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