116部分:第九話 遠のく二人その十
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第九話 遠のく二人その十
「そうでしょ?しかも話す内容が内容だし」
「確かにそうだけれど」
「大体私が嘘言ったことある?ないでしょ」
「こういうことではないわよね」
限定的だがそれは認めた星華だった。
「確かにね」
「何か引っ掛かる言い方だけれど、今のって」
「些細なことで嘘はついたことあるじゃない」
「些細なことって何がよ」
「つまみ食いとか。そういうことでね」
「それって子供の頃のことじゃない」
星子も今の言葉ではむっとした。
「そんなの今更言われても」
「けれど確かにこうしたことでは嘘つかないわね」
しかし星華はこうも言ってみせた。一応認めてはいるのである。
「それはしないわよね」
「だからいってるじゃない。そういうことはしないって」
「世の中平気で嘘つく人もいるっていうし」
確かに実際にそうした人間もいる。息をするように嘘をつきしかも同じ嘘を何度もつく人間がいる。中にはそれを生業としているような輩までいる。
「それを考えたらね」
「私そんなに平気で嘘つけないから」
「だからいいって言ってるの。平気で嘘つく人間になったらおしまいでしょ」
「嘘吐きは泥棒のはじまりって言うしね」
これは確かにある意味において真実である。実際に大嘘吐きが泥棒をしたということも多いのだ。嘘は悪であり盗みも悪だ。ことの善悪を意識しなくなるからそうなるのだ。
「だからね。それはね」
「私そんな泥棒なんてしないし」
「絶対に駄目よ」
妹を咎める言葉だった。
「それはね」
「わかってるわよ。それはしないから」
星子も自分で言うのだった。
「絶対にね」
「いいわ、それでだけれど」
ここまで話してそのうえでだった。また話を変えてきたのであった。
「実際斉宮ってあれ?彼女とかいないのかしら」
「まずいないと思うけど?」
こう答える星子だった。
「先輩奥手だし」
「そうよね、じゃあまだ私にもチャンスが」
「っていうか入ったら?本当に」
「だから言えたら苦労しないわよ」
言葉がそのまま先程と同じ流れになっている。
「そんなのはね。言えたらね」
「だから勇気を出してよ」
「何度も言うけれど言えないのよ」
「私が男だったらお姉にコクられたら」
「どうなるっていうのよ」
「まずオッケー出すわよ」
にこりとしての言葉だった。
「もうそれでね。出すわよ」
「そうなの。そう言ってくれるの」
「そうよ、出すわよ」
また姉に告げた。
「確実にね」
「あんたがそうでも斉宮がどうかなのよ」
「だからやってみればいいじゃない」
「だから出来ないの」
話は完全に先程と同じだった。堂々巡りにさえなろうとしている。
「それはね」
「こりゃ駄目だ。まあいいわ」
「いいっ
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