第56話 ヴァンフリート4=2
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底に長期自己保存型核魚雷ランチャーを2万程設置します。此れは、同盟軍海上部隊の不良在庫が有りますので、魚雷の整備費用と設置費用ぐらいしかかかりません」
「つまり、着水した敵艦隊を下腹から狙う訳か」
「そうです、海上部隊が帝国領侵攻を考えて溜め込んだ物ですが今の所不良在庫です。しかも消費期限がそろそろ切れかけですから。解体するより遙かに利用価値がありますし、例え敵が来なくても、居住不能恒星系なら不法投棄しても誰も文句は言いませんから」
「ロボス中佐の怖さが判る話だな」
「更に念には念を入れるには、北極に近い位置に隠匿式レーザー水爆発射機を設置して、少数の人員が居る隠匿式基地からの指令で一斉攻撃を行うのが理想です」
「確かに良い策だが、無人基地、無人陣地、無人戦車が破壊されて中に人が乗っていなければばれるのでは無いか?」
「いえ。人間は配置します」
その言葉に、皆が驚く。
「ロボス中佐、貴官は将兵の命を囮として使うつもりか?」
グリーンヒル統合作戦本部次長の言葉に多くの者がいくら何でも酷いという顔で見る。
「勘違い為さらないでください。私は人間は配置すると言っただけで。将兵を配置するとは一言も言っていませんが」
「では、民間人を使うというのか?それとも捕虜かね?」
「いえいえ、そんな非人道的な事をする訳がないではないですか」
「では、どうするというのかね?」
「発想の転換です。何も生きた人間を配置する必要がないのです。つまりは宇宙空間に浮かぶ帝国軍人の死体に同盟の故障等で廃棄予定の装甲服を着させて配置すれば良いだけですよ」
その言葉に、更に皆が絶句する。
「しかし、余りに酷くないかね?」
「ナチスドイツの様に死体から石鹸作るより遙かにマシな利用法だと思いますよ」
「ヤンが聞いたら、憮然としそうな外道な作戦だな」
そう話しながら、ワイドボーンは態々ヤンの居ない日にこの話をした意図を察したのである。
「そうです、ヤン中佐なら無用な恨みを買う必要は無いと言いそうですけど」
「此は戦争だからと言う訳か」
リーファとワイドボーンの言葉にシトレが頷きながら呟く。
「確かにロボス中佐の意見が正しいと思う」
「此は戦争です。武士の情けなどしても、敵は喜ばずに馬鹿にされたと、益々敵愾心を煽るだけです。敵は同盟を滅ぼすつもりなのですから」
「そうだな」
「敵は確かに同じ人間ですが、攻めてくる以上完膚無きまでに叩き潰すのが、トータル的に犠牲を減らす方法だと思います。殺気《やるき》のある相手に友愛の心で向かい合っても一方的に殺されるのがオチですから。敵に犠牲を強いて侵攻することが不可能な状態まで持って行きます。私は鬼と言われようと悪魔と呼ばれようと、この作戦を完遂するべきだと思います」
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